米LNG輸出、新規凍結に共和党が反発 日欧は見直し要請
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『【ヒューストン=花房良祐】バイデン米政権が打ち出した米国の液化天然ガス(LNG)輸出の新規許可の凍結に対して野党・共和党とエネルギー業界が猛反発している。6日の米議会下院の公聴会では与野党の応酬となった。日本や欧州といった同盟国にも動揺が広がるなか、トランプ前大統領は大統領選に当選したら凍結方針をひっくり返すと明言した。
米国から自由貿易協定(FTA)を締結していない国にLNGを輸出するにはエネルギー省の許可が必要になる。バイデン政権は1月下旬、LNG輸出の新規許可を一時凍結すると発表した。地球温暖化といった環境への影響を盛り込んだ新たな審査基準を策定する。
審査再開の時期は明言していない。LNGの新規事業の先行きに不透明感が高まっており、金融機関の融資や民間企業の投資判断に影響を与えるのは必至だ。「1年くらい凍結される」(LNG業界関係者)との見方もある。
米国だけでなく、隣国メキシコにも影響する。同国ではパイプラインで輸入した米国産ガスをLNGに加工し、太平洋岸からアジアに輸出する新規計画がある。こうしたプロジェクトも米国政府の許可が必要になるからだ。
世界最大のLNG輸出国である米国の突然の方針転換に波紋は広がっている。日本の経団連は欧州などの経済団体と共同でバイデン政権に書簡を送付。「世界のガス需要は増加する見通しで、LNGの追加供給が必要だ」などと訴えた。
日本の電力・ガス会社や商社は米国でLNG事業を展開している。増産や新規調達の計画もあり、バイデン政権の輸出許可凍結は打撃となる。
6日の下院エネルギー・商業委員会の公聴会では共和議員から批判が相次いだ。ジェフ・ダンカン議員(共和党)は「米国からLNGを買えなくなった同盟国は、カタールやロシアからLNGを買うだろう」と述べた。
トランプ前大統領も3日の集会で「就任する初日に(バイデン政権の凍結を)ひっくり返す」と明言した。
米国の国際的な影響力が低下する恐れもある。英シェルのワエル・サワン最高経営責任者(CEO)は「米国とLNG業界との長期の信頼関係が崩れる」と英紙フィナンシャル・タイムズの取材に語った。
許可凍結で年産1億トン分の生産能力が影響を受けるとの試算もある。日本の年間輸入量の1・5倍に相当する量だ。欧州や日本は天然ガスで「脱ロシア」を模索しており、米国の増産が見込めなくなったり遅れたりすれば逆風だ。
一方、米国内のリベラル派は相次ぎ歓迎している。環境団体の米シエラ・ネバダは「LNGの危険性を指摘してきた地域や団体にとっての勝利だ」との声明を公表した。バイデン大統領は11月の大統領選を控えるなか環境重視を打ち出し、若者層に訴える考えだ。
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