EVへの懐疑論増える。大手メーカーは計画縮小でテスラにも暗雲

EVへの懐疑論増える。大手メーカーは計画縮小でテスラにも暗雲
https://www.thutmosev.com/archives/32974.html

『アメリカに登場したテスラ墓地。1台の充電に数時間かかるので次々に電池切れになった
https://www.cbsnews.com/chicago/news/tesla-owners-run-into-trouble-amid-bitter-cold/

テスラの減速

テスラの2023年は売上高が前年比19%増の967億7300万ドル(約14兆2700億円)、純利益が19%増の149億9700万ドル、販売台数は前年比38%増の181万台だった

華々しいというよりも悲観的な分析が報道されていて、今まで前年比6割増が当たり前だっただけに38%増は減速と受け取られている

特に23年10月から12月の第4四半期は前年比19.5%増の約49万5000台生産と、最高記録ではあったが成長10%台にまで「落ち込んだ」

さらに販売台数が38%増なのに売上高が19%増にすぎないのは1台あたり価格が下がった事だし、純利益も19%増だったので製造コスト削減などで値下げを補ったと想像できる

BYDの23年第4四半期EV販売台数は52万台超でBYDが上回ったが、BYDのEVは実質的に中国でしか売れておらず、中国のEV市場は全世界の50%以上を占めている

世界EV市場の正体は実際には中国の事であり、欧州では結構売れているがアメリカやアジアでは言うほど売れていないし人気でもない

アメリカではEV販売は前年より増えたがBEV(純粋な電気自動車)よりハイブリッド(HVとPHV)のほうが2倍も売れていて伸び率も大きかった

欧州や中国ですらEVの伸びをハイブリッド勢が上回っていて、消費者は補助金つきPHVを買うか補助金なしのHVを買うかで悩んでいてEVは「できれば買いたくないリスト」に入っている

この冬はアメリカや中国で寒波によるEVの遭難が大きく報道され、テスラのスーパーチャージャーも充電器が凍結して充電できなかったり、低温で充電速度が低下して数分で済む筈が1台数時間もかかっていた

これで判明したのは充電器も含めてEVは低温に極めて弱いので、バッテリーや充電施設を温め続けなくてはならないという事でした

もっと気温が低い北欧では充電器は室内に設置して加熱したりエアコンがあったりするが、中国や北米では野外に野ざらしで設置してあった

EVオーナーの多くが体験したのは低温下でエアコンを効かせると走行可能距離が1/2になり、充電にかかる時間は普段は数分なのに数時間かかり、満充電しても数時間でまた充電が必要になるという地獄でした

中国はタクシーのかなりがEVに転換したが、「営業している時間より充電時間のほうが長い」と語っていて、タクシーの充電渋滞が数十台並んでいた
全世界で利益を得ているEV企業はテスラのみ

テスラを減速させたのは第一にEV市場の減速で世界で1360万台のEVが売れてBEVは950万台、PHEVが410万台を占めた

BEVの伸び率は前年比30%でPHVは40%増加、EVに含まれないHVは統計がないがトヨタ1社だけで342万台のHVを販売した

テスラの将来を危惧する代表的な意見としては第一に中国への依存度が高すぎる事で、全世界で中国が占める比率は52%に達している

ドイツのVWは一時中国が占める割合が40%に達し23年も35%だったが、販売台数や業績はじり貧になりつつあるようです

中国からみたVWやテスラは「国内企業」ではないので利用できる間は利用するが、国内企業が育った後は用済みになり廃棄するものです

トヨタなど日本車の中国販売が減少しているのも「用済み」だからなので今後回復する事はなく、仮にトヨタやホンダがEVを販売しても中国でのシェアは回復しません

実際にEVを購入した中国人ユーザー多数の証言ではBYDには自動車として欠陥が多いので、まだまだテスラやトヨタに遠く及ばない

中国政府はまだテスラから搾り取れるものがあるので優遇しているが、取れる物を全て取ったらVWやトヨタのようになります

テスラは2023年の世界で唯一EVで利益を出した企業で、BYDはEVが赤字でPHVで利益を出していると報じられています

既存のEV・ガソリン兼業メーカーのEV部門は全て赤字でEV販売が価格を維持したまま劇的に増えないと黒字転換する見通しすら立っていません

テスラは既存メーカーに対抗する為値下げを繰り返していて、その影響で既存メーカーのEV事業は巨額赤字に陥っています

特に酷いのは米ビッグ3のGM、フォード、旧クライスラーで、相次いでEV計画縮小や一部中止を発表しディーラーから「ハイブリッドを発売しろ」と突き上げられています

ドイツ御三家のVW、BMW、メルセデスは2030年代にすべての車種をEVにすると言ってガソリン車やHVの新規開発をやめたが、おそらく再開せざるを得なくなるでしょう

時代はガソリンからEVに一気に転換せずハイブリッド共存時代が長く続くと予想され、その後もCO2を排出しない代替燃料によって内燃機関エンジンが存続する可能性もある

代替燃料は電力で無公害燃料を生成するが現在は高コストで、普及にはガソリン並みの低価格が求められている

代替燃料の利点はガソリンの既存設備を使えるのと、航続距離を伸ばすにはガソリンタンクを大きくするだけなので負担が一切ない点です 』