ハマス関与の国連機関職員、拉致や弾薬提供か 米報道
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN29CKH0Z20C24A1000000/
『【ニューヨーク=佐藤璃子】国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)の職員がイスラム組織ハマスによるイスラエル奇襲に関与していた疑いを巡り、職員らがイスラエル人を直接拉致したほか、ハマスへ弾薬を提供するなどの行動を繰り返していた可能性が明らかになった。米紙ニューヨーク・タイムズが28日、米政府内部文書の詳細を報じた。
イスラエルが米国に文書を提供した。UNRWAはパレスチナ自治区ガザ地区で活動する。
疑いを持たれている職員12人のうち1人は、多数の死者が出たガザ境界に近いキブツ(集団農場)への襲撃に関与したとされる。このほかイスラエルから女性を拉致した職員がいた。イスラエル兵の遺体をガザ内に運ぶのを手伝ったり、ハマスに対して弾薬を提供したりしていた事例もあったという。
12人のうち10人がハマスの構成員で、1人がハマスと共闘するガザの過激派「イスラム聖戦」のメンバーであったとも指摘した。12人のうち大半がUNRWAの運営する学校の教員や職員だったとみられる。
国連のグテレス事務総長は28日の声明で、関与の疑いが出ている12人のうち9人はUNRWAが解雇し、1人は死亡を確認したと発表した。一方で同機関への資金拠出停止を表明する国が相次いでいることについては「現在の資金では2月の支援もままならない。活動継続を支えるよう強く訴える」と各国に拠出を再検討するよう求めた。
UNRWAは500万人以上に上るパレスチナ難民を支援する国連の中核機関だ。小中学校の運営や医療サービスの提供などを担っている。活動が滞れば国際社会の支援に依存するガザの住民生活に大きな影響が出る可能性がある。
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岩間陽子
政策研究大学院大学 政策研究科 教授
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別の視点
多くの国が拠出金を一時的に停止する中で、ノルウェー外相は「ノルウェーは、10/7のテロ攻撃に国連職員が関与したという疑惑を深く憂慮し、調査と法の裁きを求める一方、極度の人道的苦境にある何百万のガザの人々は緊急の支援を必要としており、代償を払うべきではないとして、UNRWAへの資金援助継続を決定しました」との声明を発表しています。これはこれで、尊重すべき視点だと思います。
2024年1月30日 12:29 』