米政府 UNRWAへの追加資金拠出を一時停止へ

米政府 UNRWAへの追加資金拠出を一時停止へ
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240127/k10014336921000.html

『2024年1月27日 11時41分

アメリカ政府は、パレスチナのガザ地区などへの人道支援を続けるUNRWA=国連パレスチナ難民救済事業機関の複数のスタッフが、去年10月のイスラム組織ハマスによるイスラエルへの奇襲攻撃に関与した疑いがあるとして、追加の資金の拠出を一時停止することを明らかにしました。

UNRWAは26日、去年10月のハマスによるイスラエルへの奇襲攻撃に複数のスタッフが関与した疑いがあるとする情報提供がイスラエル側からあったとして、調査を始めると明らかにしました。

アメリカ国務省は26日、あわせて12人の関与が疑われると強い憂慮を示したうえで、「UNRWAはパレスチナ人に対する食料や医薬品などさまざまな人道支援で重要な役割を果たしており、適切な措置をとることが大切だ」として、必要な措置が講じられるまでの間、機関への追加の資金の拠出を一時停止することを明らかにしました。

また、ブリンケン国務長官は25日、国連のグテーレス事務総長と電話で会談し、迅速な調査の必要性を強調したということで、国務省はイスラエル政府にもさらなる情報を求めているということです。

アメリカはUNRWAに対して最も多くの資金を拠出している国で、ガザ地区での危機的な人道状況が続くなか今後の支援への影響が懸念されます。
UNRWA調査開始を表明

UNRWA=国連パレスチナ難民救済事業機関は、ガザ地区を実効支配するハマスが去年10月7日、イスラエルに奇襲攻撃を行った際に、UNRWAの複数のスタッフが関与した疑いがあるとする情報提供がイスラエル側からあったとして、調査を始めることを26日、明らかにしました。

UNRWAのフィリップ・ラザリーニ事務局長は、26日、声明を発表し、「人道支援を届けるUNRWAの力を守るためこれらのスタッフとの契約を直ちに打ち切ることを決めた。また遅滞なく真実を明らかにするために調査の開始を決定した。テロ行為に関与したスタッフは刑事訴追を含め責任を問われることになる」とコメントしました。

その上で「UNRWAは10月7日の忌まわしい攻撃を改めて最も強いことばで非難する」としてガザ地区に捕らえられている人質全員の即時かつ無条件の解放を求めました。

また「戦争が始まって以来、ガザ地区で200万人以上がUNRWAが提供する支援に依存する中、今回の衝撃的な疑惑が発覚した。国連の基本的な価値観を裏切る者は、ガザ地区だけでなく、地域全体や世界中で私たちが奉仕する人々をも裏切ることになる」としています。
国連 グテーレス事務総長 緊急に独立調査行うと表明

国連のグテーレス事務総長は26日、UNRWA=国連パレスチナ難民救済事業機関の複数のスタッフがハマスによるイスラエルへの奇襲攻撃に関与した疑いについて報道官を通じて声明を発表しました。

この中でグテーレス事務総長は「このニュースにがく然としており、ラザリーニ事務局長に対し、早急に調査するよう命じた。この攻撃や、その他の犯罪行為に関わったことが明らかになったスタッフについては、直ちに解雇され、刑事訴追を含めた責任を問われなければならない」として、緊急に独立した調査を行うと明らかにしました。

また国連本部で会見した報道官は「多くの人たちがUNRWAの支援に頼っており人道的な活動を続ける必要がある。多くの命がかかっている」と話し、ガザ地区での支援活動を継続することを強調しました。 』