中国軍、〝宇宙兵器〟で米艦隊を模擬攻撃 シミュレーションではわずか10分ほどで壊滅
https://news.yahoo.co.jp/articles/48f619dddd711ee193cfa7d69f3722ab36e4485e?page=1
『中国軍が衛星を使った極超音速ミサイル攻撃で、米空母打撃群を壊滅させる模擬演習をコンピューターシミュレーションで成功させたとする中国の報告書が公開された。
米空母打撃群への長距離ミサイル攻撃は困難とされてきたが、今回の実験で理論上可能であることが示された。香港紙サウスチャイナ・モーニング・ポストが報じた。
米空母打撃群が洋上をフルスロットルで航行すると、航空団を含むその戦闘行動半径は1000キロにも及ぶ。
その打撃群に対し、1200キロ離れた位置から、中国の極超音速対艦ミサイルが空に向かって一斉に発射され、200キロ以上上昇した後、米艦隊をロックオン。ミサイルが発射されても約10分間は米軍側のレーダーは捕捉できない。レーダーが捉えた時、ミサイルはすでに50キロまで急接近し、目標を即時に壊滅させた。
これが中国南西部・成都にある研究所で行われたコンピューターによるシミュレーションだ。
この模擬演習では、中国軍が宇宙兵器を使って米空母打撃群を攻撃するシナリオだ。空母打撃群とは、航空母艦を中核とした機動部隊の戦術単位の一つ。空母の航空団や、巡洋艦や駆逐艦などの護衛艦とその搭載武器システムにより、対空・対地・対水上および対潜のいずれに対しても最強といわれる優れた戦闘能力を備える。
ポスト紙によると、この実験を主導したのは、これまで存在があまり知られていなかった電子情報科学技術研究所の研究員リュー・シーチャン(Liu Shichang)氏。同研究所は国有企業・中国電子科技集団公司の傘下で、中国軍向け電子戦機器の開発に取り組んでいるとされる。
リュー氏らがまとめた報告書は、宇宙空間に配備された中国軍の電磁兵器システムが、はるか上空から護衛艦のレーダーを抑制するため、ミサイルが探知されないと説明。
「古来より高い位置から軍を指揮することは、戦いにおいて常に極めて重要な戦術だった」とした上で、「戦争概念の進化とテクノロジーの進歩により、宇宙は世界の軍事大国が激しく争う新たな高みとなった」と記した。当局による査読を経て報告書は先月、中国の軍事専門誌「船上の電子対策」に掲載された。』
『シミュレーションでは、中国の極超音速ミサイルは米空母打撃群の上空にある複数の低軌道電子戦用衛星から援護を受ける。
同衛星は米軍の艦船から発せられるレーダー信号を探知し、同様の強力な信号を発射する。
それにより、たとえレーダー波がミサイルによって反射されても、その反射波は強い背景のノイズによりミサイルの位置が特定できなくなるというものだ。
一方、この模擬演習で米軍側のレーダーは、長距離対艦ミサイルを探知するアーレイ・バーク級ミサイル駆逐艦に搭載されている「SPY-1D」と想定した。多数の目標を捜索・捕捉・追尾し、同時に艦対空ミサイルの誘導にも関与する多機能レーダーだ。
同報告書は、中国軍が「関連する研究と応用」を進めており、「低軌道衛星群を利用した宇宙空間での電子戦が、情報戦の重要な手段となっている」と指摘。米国やロシアなども同様の宇宙兵器の開発に取り組んでいると付け加えた。
今回の模擬攻撃でどのような極超音速ミサイルが使用されたか報告書は明記していないが、射程距離が約1500キロとされる中国の「YJ-21」ミサイルか、同程度のものだとみられる。軍事専門家らによると、「YJ-21」は、米海軍のズムウォルト級ミサイル駆逐艦に次いで世界最強クラスとされる南昌級駆逐艦(055型)などに配備されている。
また、シミュレーションで使われたミサイル発射のプラットフォームが、発射台付き車両(TEL)や潜水艦なのかといった点についても明らかにしていない。
中国・山西省の中北方大学の研究者らによる昨年の別のシミュレーションでは、中国の極超音速ミサイルが陸上から米空母打撃群に向けて発射された。このシナリオでは20発以上の極超音速ミサイルが発射されたが、軍事衛星の援護を想定しなかったため、中国のミサイルは発射の瞬間から米国側に探知された。
TNL JP編集部 』