24年のコモディティーはこう動く 金は史上最高値更新も

24年のコモディティーはこう動く 金は史上最高値更新も
24年のオルタナティブ投資展望(3)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB2584R0V21C23A2000000/

『オルタナティブ投資の展望を探る連載3回目はコモディティー(商品)を取り上げる。2023年末は金(ゴールド)が最高値を更新。原油も高値水準が続いている。24年のコモディティー(商品)市況の見通しをまとめた。

2023年12月に金(ゴールド)価格が史上初めて1トロイオンス2100ドル(ニューヨーク金先物)を超えるなど、価格の変動が大きくなっているコモディティー(商品)市場。24年にはどう動くのか。楽天証券経済研究所のコモディティアナリスト、吉田哲さんに見通しを聞いた。

【連載「24年のオルタナティブ投資展望」過去記事】

(1)外国債投資は24年も妙味が続く 利息と値上がりの二兎も
(2)賃料上昇で新年に上向くREIT 金利上昇でも上値余地

まずは史上最高値を付けた金。吉田さんは「ドルベースの金は、24年も上昇すると予測する。23年12月上旬の2100ドルから、24年のどこかで2300ドルまでいく可能性もある」と見る。

絡み合う4つの要因

史上最高値をさらに上回る可能性があると予測する背景には、4つの要因があると話す。①有事ムードの継続②各国の中央銀行の買い③代替資産(株式の代わり)としての金④代替通貨(米ドルの代わり)としての金、の4つだ。

世界的に不安が広がると、投資資金の逃避先として金が買われる。ロシアによるウクライナ侵攻やイスラエルとハマスの軍事衝突に加え、24年は米国・ロシアの大統領選、インドの総選挙など、主要国で大きな選挙が予定されている。その結果次第では、急速に不安感が高まる可能性がある。

そのような環境下では、各国の中央銀行も金の保有量を増やすようになる。22年は中央銀行が購入した金の量(購入-売却)が史上最高規模になった。23年も第3四半期までで22年通年分に匹敵する量まで積み上がっている(ワールド・ゴールド・カウンシル調べ)。24年もリスクが継続すれば、中央銀行の金保有も積み上がっていくと吉田さんは分析している。

さらに代替資産としての側面も考慮すべきだという。例えば株式市場が暴落すれば、安全資産と目される金に投資資金がシフトする傾向にある。米国がリセッション(景気後退)入りし株価が急落すれば、金高の圧力になりやすい。
注:2019年1月を100として指数化

そして24年に最も注意したいのは、米ドルの為替動向だ。例えば22年から23年前半にかけて、利上げで米ドルが上昇。一方で金は下落してドル高・金安に振れた。このようにドルの方向性で金価格も変動する。24年は利上げは一段落し、利下げに動くとの見方からドル安・金高への転換もあり得る。実際、ドル高・金安からドル安・金高へのシフトは、19年の米利下げ時にも見られた。

このように幾つかの要因が絡まり合う状況が予想できる24年。これらの要因が入れ代わり立ち代わり現れて金価格は最高値を更新してもおかしくないというのが吉田さんの見立てだ。

この金に追随する動きになるのがプラチナだ。ただ「同じ上昇率・下落率になるというのではなく、上昇する場面・下落する場面が似通っているという意味」(吉田さん)。さらにプラチナ特有の要因もある。工業用需要が比較的多いため景気の影響度が金よりも高い。このため景気悪化により資金の逃避先として金が上昇する場合、プラチナは金ほど上がらないことがある。また長期で見た場合の下値水準が底堅いことだ。下落しても1トロイオンス700ドルがその水準で、吉田さんは「下げてもその水準まで」と見る。
上昇・下落圧力がせめぎ合う

そして最後に原油だ。足元では原油価格は下落しているが「高値水準にあることは確か」と吉田さんは話す。

24年、原油を巡っては中東情勢の悪化など供給側による上昇圧力と、中国景気の悪化など需要側による下落圧力がせめぎ合うと吉田さんは予測。このため1バレル60〜100ドルのボックス圏で推移し、瞬間的に上昇圧力が高まって120ドルという水準があるかもしれないと見通している。

現在はこれらコモディティーにも、上場投資信託(ETF)を通じて投資できるようになり、投資しやすくなっている(下表)。ただ「以前は『有事の金』などシンプルに言えたが、現在は要因が入り組んで価格が動く。例えば20年夏は、米利下げで株高と金高が同時に起こった。このように『こんなことが起これば、こうなる』との予測が簡単にはできなくなっている。その難しさがあることは理解したい」と吉田さんはアドバイスする。

(佐藤由紀子)

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