海保機、滑走路で40秒停止か JAL機側は視認できず

海保機、滑走路で40秒停止か JAL機側は視認できず
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUE033BZ0T00C24A1000000/

 ※ 『原因を解明するのと、責任の所在を明確にするのは、別のことだ。心理的安全性の概念を確立したハーバード大のエイミー・エドモンドソンは最新刊「Right Kind of Wrong」(「正しい誤り」の意)で、一人、あるいは一つの事象に原因を求める反応はどこにでもあるが、それだと事故から教訓を得る可能性を狭めてしまうと指摘している。複数の要因が重なっている可能性がある場合はなおさらだ。まずは原因の解明を待ち、責任追及はその後にしたい。』…。

 ※ コイツ、何言ってんだ…。

 ※ 「その職務にある者」として、「その局面においては」「絶対やってはいけないこと」「絶対やるべきこと」というのは、あるんだよ…。

 ※ それを果たせない者は、「その職」にいる資格無し…。

 ※ JR西の福知山線の脱線事故で、「制限速度70キロのカーブ」に、116キロで突っ込んだヤツがいたケースを、思い出した…。

 ※ 死者107名(当該列車の運転士含む)、負傷者562名 という大惨事になった…。

 ※ 世の中には、「その職に就いては、いけない人」が、どういうわけか「就いてしまって」、大事故を起こしてしまうケースが、ママある…。

『2024年1月4日 13:00 (2024年1月5日 7:00更新)

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上野泰也さん他1名の投稿上野泰也篠田真貴子
羽田空港の滑走路で炎上し焼け焦げた日航機の前に集まった大勢の警視庁の関係者ら(4日午前9時21分)=共同

羽田空港で日本航空機と海上保安庁の航空機が衝突した事故で、日航機側と管制官は滑走路に誤進入したとされる海保機を認識していなかった。海保機が滑走路上で約40秒間停止していたとみられることも新たに判明。事故は人的ミスが影響したとの見方が強まっている。管制指示の誤解を防ぐ表示装置の導入といったデジタル化も進む中、ソフト面も組み合わせた対策が欠かせない。

「いきなり(海保機の)後ろが燃えた」。捜査関係者によると、海保機の男性機長は警視庁の聞き取りに対し、そう説明した。同庁は負傷した日航機の乗客への聴取も開始。4日に現場の滑走路での検証を終えたと明らかにした。今後も日航機と海保機の検証を続ける。

日航によると、日航機の機長は滑走路への進入中に海保機を「視認できなかった」と話した。「衝突直前に一瞬何かが見えた。違和感があった」と説明したパイロットもいたという。管制官は海保機の進入を把握しておらず、着陸のやり直しも指示していなかった。いずれも事故直前まで衝突の可能性を認識していなかったとみられる。

なぜ海保機は滑走路上にいたのか。関係者によると、海保機は滑走路上で約40秒間停止していたとみられる。国土交通省が3日に公表した交信記録によると、管制官は海保機に滑走路の手前まで進むよう指示したが、進入許可は出していなかった。

機長は事故後に「許可を得ていた」と説明。認識の食い違いが浮上し、指示の取り違えも含めて人的ミスの可能性が高まっている。運輸安全委員会が行動の経緯などを調べている。

航空事故は離着陸時に起こる可能性が高い。管制官による指示内容のミスや航空機側の聞き間違いを防ぐため、航空機側が指示を復唱する運用が徹底され、人による相互確認が世界中で安全確保の基本動作となっている。今回の事故でも海保機は管制官からの指示を復唱していたが、事故を防げなかった。

過去にも管制とのやりとりに起因する事故やトラブルは起きている。中でも航空事故対策の転機となったのが、1977年にスペイン領テネリフェ島の空港で起きた航空機同士の衝突だ。管制交信の錯綜(さくそう)が一因となり、583人が亡くなる大事故となった。

日本でも2015年に那覇空港で航空自衛隊のヘリが滑走路を横切り、離陸準備中の全日空機が離陸を中止した。運輸安全委員会の報告書は、空自ヘリの機長が全日空機に対する離陸許可を自機に出されたものと取り違えたことが原因と認定した。

綿密なコミュニケーションが安全確認の前提だが、人的ミスは常につきまとう。対策のひとつが人の作業をシステム化することだ。管制トラブルの頻発を受け、専門家が09年にまとめた提言は「ヒューマンエラーを起こしやすい作業を機械に置き換えることが有効で支援システムの導入が望ましい」と指摘した。

指示の聞き間違いや取り違えを防ぐため、誘導路や滑走路付近に設置された照明の点灯状況で進入の可否を示す「誤進入防止システム」が開発されている。国内では関西国際空港や成田空港などで導入され、今回事故が起きた羽田空港のC滑走路にも設置されていた。

だが、システムは国際的な基準に基づき、周辺の視界が不良であることが運用の前提となっていた。事故時は工事中のため作動していなかったが、工事中でなかったとしても視界が良好で条件に当てはまらないため作動していなかったとみられる。

元日本航空機長で日本ヒューマンファクター研究所(東京)の桑野偕紀所長は「点灯による誤進入防止システムのように、言語による意思疎通以外で安全確認を担保する仕組みの積極的な活用を検討すべきではないか」と話す。

今回の事故を機に、ハード面の整備だけでなく運用条件の見直しなどのソフト面も議論の対象となる可能性がある。デジタル化で新たな作業が生じ、管制官らの作業負担が増える場合も想定され、バランスをどのようにとるかが課題となる。

国交省幹部は「ハードの有効性や導入時の問題なども考慮しながら幅広い観点で再発防止策を検討する必要がある」と話している。

(村越康二、中川紗帆)

【関連記事】

・海保機へ「離陸許可」出さず 国交省、交信記録を公表
・羽田航空機衝突、JAL「管制の着陸許可を復唱」

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上野泰也
みずほ証券 チーフマーケットエコノミスト
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別の視点

45分11秒の管制塔と海保機の交信記録にある「ナンバーワン(1番目)」が重い意味を持ったという見方が出ている。たとえば、「海保機に勘違いがあるとすれば、『ナンバーワン』という言葉では」「この言葉によって、海保機のパイロットが滑走路へ入るのを急いだ可能性がある」との元機長・航空評論家の見方や、「海保機のパイロットが『ナンバーワン』という言葉を聞き、管制から離陸許可まで出たと拡大解釈してしまったのではないか」との元機長の見方を、朝日新聞が伝えている。管制官が滑走路上に海保機が40秒ととまっているのをケアできなかったを含めて、複数の原因が重なった結果、今回の事故が発生したのではないかと推測される。
2024年1月5日 7:35

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篠田真貴子
エール株式会社 取締役
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分析・考察

原因を解明するのと、責任の所在を明確にするのは、別のことだ。心理的安全性の概念を確立したハーバード大のエイミー・エドモンドソンは最新刊「Right Kind of Wrong」(「正しい誤り」の意)で、一人、あるいは一つの事象に原因を求める反応はどこにでもあるが、それだと事故から教訓を得る可能性を狭めてしまうと指摘している。複数の要因が重なっている可能性がある場合はなおさらだ。まずは原因の解明を待ち、責任追及はその後にしたい。
2024年1月4日 18:06 』