国連安保理、ガザ支援拡大を採択 戦闘停止は盛り込めず

国連安保理、ガザ支援拡大を採択 戦闘停止は盛り込めず
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『【ニューヨーク=佐藤璃子、三島大地】国連安全保障理事会は22日、パレスチナ自治区ガザでの人道支援を拡大するための決議案を採択した。国連の担当者を派遣し、支援物資の迅速な輸送を促す。当初模索していたガザでの戦闘停止は米国の反対で決議に盛り込めなかった。

理事国15カ国のうち日本や中国、英国を含む13カ国が賛成した。米国とロシアが棄権した。

国連事務総長に対し、ガザに提供される支援物資の監視や調整を行う担当者を任命するよう要請した。米国がこれまで重視してきたイスラム組織ハマスへの非難とイスラエルの自衛権に関する文言は盛り込んでいない。

世界保健機関(WHO)は21日、ガザの人口の93%が危機的レベルの飢餓に直面しているとして、「壊滅的なレベルの食糧難だ」と警鐘を鳴らした。

もっとも、長期化する戦闘については「人道的アクセスを直ちに拡大し、永続的な敵対行為停止の条件を整えるための緊急措置を求める」と要請するにとどめた。

当初盛り込まれていた敵対行為の「即時停止(cessation)」要請から大幅に後退した。戦闘が止まらない中で、どの程度人道支援が継続できるか疑問視する声もある。ロシアは敵対行為の「一時停止(suspension)」を呼びかける修正案を提出したが、米国の拒否権行使で否決となった。

安保理は国連機関で唯一、加盟国への法的拘束力のある措置を実行できる。11月には戦闘の「一時休止」を求める安保理決議を受けて、イスラエルとハマスは約1週間にわたり戦闘を休止していた。

当初は18日に同決議案の採決を予定していたが、数回の延期を重ねて22日に持ち越された。米国が拒否権を行使しないよう、文言を巡る交渉が進められたことが背景にある。

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植木安弘
上智大学グローバル・スタディーズ研究科 教授
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ひとこと解説

今回の安保理決議採択は、国内外で批判されてきた米国が何とか結果を出さなければならないという切羽詰まった状況の中でやっと妥協点を見つけた結果だった。

ハマスへの非難を入れない代わりに即時停戦も求めず、深刻な人道状況の即時改善を目指して人道支援の大規模な拡大で合意した。

持続的な敵対行為の停止という表現は入ったが、あくまでもその実現のための状況を作るという弱い表現。

人道物資の搬入も国連下の枠組みではなくイスラエルの検閲が続く。民間人の保護や人道アクセスを叫びながらも、イスラエルの大規模な攻撃が続く限り実現は困難。

まだ前途は厳しいが、緊急人道支援の拡大と停戦に向けた更なる努力は継続する必要がある。
2023年12月23日 7:54 』