国の信用が失われるという事。
http://blog.livedoor.jp/goldentail/archives/32928695.html
※ トルコリラと、アルゼンチンペソは、Steamで「使えない通貨」となってたのか…。
※ というか、今までは「使える通貨」だったんだ…。
※ まあ、Steamで、「使えないカード」は、経験したがな…。
『 このブログでも、何度か米ドルの乱発で価値が毀損して、アメリカで進行しているインフレの脅威について解説していますが、デフレの長かった日本において、インフレの脅威をグラフや数値で示して説明しても、なかなか実感できないものです。先日の記事で、一般消費者に判りやすい、「マック指数」を用いて解説してみました。時給が日本の3倍もらえても、物価が3倍~5倍になれば、結局のところ生活は楽ではないという事です。世界中に支店があり、同じメニューで販売しているマクドナルドの商品で比べると、実感としてインフレの怖さが判ります。経済成長を犠牲にしてでも、暴走する前に止めようとFRBが必死になる理由も判ります。
最近、SteamというPCゲームのダウンロード販売サービスを提供しているプラット・ホームで、発行通貨の価値の毀損が著しい、トルコのリラと、アルゼンチンのペソの取り扱いが停止しました。これらの国の人々が、Steamでゲームを買おうとすると、米ドルに換算して支払う必要があります。つまり、「おたくらの国の通貨は、信用が無さすぎるので使えません。米ドルに両替してから、買って下さい」と入り口で出禁になったという事です。
両国とも、インフレの程度が尋常ではなく、特定の商品では、2週間程度で発行通貨での価格が2倍になるほどです。特にアルゼンチンでは、自国通貨のペソでの値段表示を取りやめています。インフレのスピードが早すぎて、値札の差し替えが間に合わないので、その時点で店員に聞いて、時価で取引するような状態です。経済に失敗して、発行通貨の信用を失うというのは、こういう事です。国境を跨いで買い物をしようとしても、自国通貨での支払いを拒否されるのです。
先日のアルゼンチンの新大統領誕生を取り上げた記事では、こういう背景から、自国通貨を廃止して、米ドルを流通通貨にしようという政策をぶち上げてると説明しました。実際、アルゼンチンでは、給料を受け取ると、一刻を争って米ドルに換金して、価値が落ちるのを防ぐのが当たり前になっていて、米ドルで買い物も普通にできます。なので、日常生活では、受け入れる地盤が出来ているのですが、問題は自国通貨を無くすと、中央銀行によるテクニカルな経済対策が自律的に打てなくなる点です。当たり前の事ですが、米ドルというのは、アメリカの内政の都合で調整されます。自国通貨を無くすという事は、いかに自国に都合が悪い事でも、アメリカの政策のままに経済が振り回されるという事です。まったく壁が無くなるので、自国防衛ができなくなります。つまり、その国が独立して経済を構築できないという事です。
インフレが進行すると、行き着く先は、こういう事です。何を海外と取引するにしても、リスクを金額に換算したプレミア価格になります。不利な条件での取引を強いられ、それを拒めないという事です。Steamで起きた事は、ゲーム販売という狭い世界で起きた事ですが、この構図は対外的な貿易の全てに当てはまります。つまり、輸入して代金を支払う時、その国の通貨ではなく、米ドルでの支払いを求められて、そうでないと取引してもらえないという事です。発行通貨というものが、その国の経済力・政治的安定を担保にして価値が決まっているので、それが使えないという事は、その国が信用されていないという事です。
アルゼンチンが、かつては世界で5本の指に入る経済的に豊かな国であった事は、以前の投稿で説明しましたが、そういう時代の遺産は都市の各所に見られます。例えば、図書館や大学などの設備は、単に規模だけではなく、カレンダーにしたくなるくらい美しい装飾の建物がありますし、今でも国民の教育レベルは、南米でトップレベルです。そういう蓄積があるので、新大統領のミレイ氏は、反米同盟の色味の強いBRICS+にアルゼンチンが参加するのを取りやめる方向です。いくら経済が厳しいとは言え、文化的には、この国が共産国家と組みするのは不自然です。まぁ、この大統領は、別の問題を抱えていて、私は必ずしも好意的にはウォッチしていないのですが、方向性としては、今のところマトモです。何となくウクライナのゼレンスキー大統領に、人気の出方が似ているのですよね。政策が評価されてというより、「今までとは違う事が聞きたい」という国民の願望に、パーフォーマンスで応えただけという気がしています。
まぁ、ちょっと厳し目に語ると、海外で買い物をしようと思って、自国通貨を差し出したら「何だ、そのゴミは。ちゃんとした通貨で払え」という事が、世界では起きうるし、そういう国で生活するのは、想像を絶する苦労があるという事です。円安で大騒ぎの日本の円ですが、世界から見ると、全然価値が安定している通貨です。』