元慰安婦訴訟、日韓に「司法リスク」 関係改善に冷や水

元慰安婦訴訟、日韓に「司法リスク」 関係改善に冷や水
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA232OZ0T21C23A1000000/

『韓国高裁が日本政府に元慰安婦の女性らへの賠償を求める判決を出したことは、急速に改善してきた日韓関係に冷や水を浴びせた。歴史問題を巡る韓国の司法判断は両国関係のリスクとなる。

日韓関係は2023年に入り、岸田文雄首相と尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領との間で一気に近づいた。保守系の尹政権が3月に元徴用工問題の解決策を提示したためだった。

日韓両政府は1965年に国交を正常化した際に請求権協定を結ん…

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『日韓両政府は1965年に国交を正常化した際に請求権協定を結んだ。日本が韓国に経済協力する一方、韓国が日本への請求権を放棄する形で「完全かつ最終的に」解決した。

日本政府は賠償に応じれば「国交正常化の法的基盤が崩れる」との立場をとる。国家が外国の裁判権に服さないとする国際法上の「主権免除」の原則に基づき、今回の訴訟でも審理を欠席した。

韓国の慰安婦訴訟で日本政府に賠償を命じる判決は21年1月にもあった。ソウル中央地裁が下した賠償命令に、日本政府は控訴せず判決は確定した。

控訴すれば韓国の裁判権に服することになるためだ。外交ルートを通じて韓国側に「国際法違反を是正する措置」をとるよう対応を求め、賠償金は払っていない。原告が要求する韓国内にある日本政府の保有資産目録の開示にも応じていない。

日本の外務省幹部は23日、「世論の動向などを慎重に見据えたうえで今後の対応を検討することになる。主権免除の原則に基づけば、控訴しないという前回の論理と同じになる可能性もある」と語った。

韓国は24年4月に総選挙(国会議員選)を控える。尹政権を支える与党の勝敗は、27年まで任期が残る現政権の体力を左右する。日本の歴史問題で強硬な姿勢をとる革新系野党が勢いを得た場合、信頼関係を深めてきた日韓両政府の関係にも影響する可能性がある。