2月4日にF-22が中共のバルーンを、サイドワインダーで撃墜した一件を覚えているだろう。

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2月4日にF-22が中共のバルーンを、サイドワインダーで撃墜した一件を覚えているだろう。
https://st2019.site/?p=21610

『Alex Hollings 記者による2023-11-7記事「You’re probably thinking of missile costs all wrong」。

    2月4日にF-22が中共のバルーンを、サイドワインダーで撃墜した一件を覚えているだろう。
 なぜ機関砲を使わなかったかというと、それではバルーンに穴が開くだけで撃墜できないと、米空軍には事前にわかっていたから。
 なぜAMRAAMを使わなかったかというと、1発100万ドルもするので、惜しいから。
 AIM-9Xとて、1発47万2000ドル強、するのである。しかし、アムラームよりは安かった。だから選択された。

 なお、サイドワインダーの今のシーカーはIRイメージ追尾なので、冷たいバルーンにも問題なくロックオン可能。

 47万ドルは勿体無いと思う納税者がいるのはとうぜんだが、じつは、ミサイルにはすべて「サービス・ライフ(有効寿命)」がある。
 冷蔵庫の中の牛乳と同じなのだ。賞味期限を越えて放置したら牛乳は必然的に変敗する。
 ミサイルも、在庫品は、いつまでも使えるわけではなくて、一定期限内に、消費してしまわないと、実戦での性能や信頼性が保証されなくなる。

 空対空ミサイルの場合、推進モーターの素材である固体燃料が、時間とともに化学変化して劣化する。
 また、ミサイル内に組み込まれている電池も、働きが落ちてくる。センサー、コンピュータ、それから舵を動かしているアクチュエーターも電動であるから、電源の電圧が下がったら当たらない。

 もちろん、ミサイルの寿命を延ばすリファービッシュ工事は可能である。たとえば「ミニットマン3」ICBMは1970年代に配備されたとき、寿命は10年だとされていた。しかし、何度も延命工事を続けて、これまで半世紀も現役を保っている。「ミニットマン3」はとっくに製造が終了しているので、ほんらいなら後継ICBMで更新されるべきなのだが、米ソ軍縮条約で後継の「ピースキーパー」を全廃したために、コスト面で合理的ではないのは百も承知で、「ミニットマン3」の延命工事をしている次第だ。

 これに対してサイドワインダーやAMRAAMは、今も製造が続けられている、大量消費向きの弾薬だ。これらに延命工事を施すよりは、新しいロットで次々に更新した方が、コストは低くなり、パフォーマンスは高くなる。

 げんざいの戦術ミサイルは、在庫性能保証期間を10年から20年くらいとして、設計・製造されている。

 「AIM-9X」の有効保管寿命は20年。もし、それを過ぎる前に使わないなら、それを過ぎたところで廃棄される。

 また、軍用機は、ミサイルを実装して離陸することがあるが、それを必ず空中で発射するわけではなく、装着したまま戻ってくることの方が平時は多い。ミサイルにとって、この「エア・アワー」は、急速に寿命が縮む時間である。高温から極低温までの苛烈な温度変化や、振動・衝撃等にさらされ通しだからだ。

 最新ミサイルの「エア・アワー」は公表されていない。古いミサイルの慣行だと、「在空加算時間」は、倉庫に保管されている状態の時間の50倍~80倍として、余命の計算に反映させていた。今もそんなところかもしれない。

 ※北鮮が在庫の古い弾薬を片端から露軍に売り払ってしまうのも、合理的なわけだ。