中国、外資の直接投資が初のマイナスに 7〜9月

中国、外資の直接投資が初のマイナスに 7〜9月
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM3088G0Q3A031C2000000/

『2023年11月3日 21:20

【北京=川手伊織】外資企業の中国投資が一段と細っている。7〜9月は初めて、工場新設など新規投資分が撤退や事業縮小に伴う資本の回収分を下回った。先端半導体を巡る米中対立や中国でのスパイ摘発強化への懸念から、投資の抑制が広がる。外資離れは中国の技術革新のペースを鈍らせ、中長期の経済成長に影を落としかねない。

中国国家外貨管理局が3日公表した7〜9月の国際収支で明らかになった。

外資が工場建設などに投…

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『外資が工場建設などに投じた直接投資は118億ドル(約1兆7700億円)のマイナスだった。お金が中国から海外に流出し、新たな投資より撤退や事業縮小の方が多かったことを示す。マイナスとなるのは統計を遡れる1998年以降で初めてだ。

外資の直接投資は上海のロックダウン(都市封鎖)で経済が混乱した2022年4〜6月から大幅な落ち込みが続いていた。中国日本商会が9月に会員企業向けに実施した調査では、23年は「投資しない」または「22年より減らす」との回答が5割近くを占めた。

新規投資を控える一因が米中対立の激化だ。中国米国商会が昨秋実施した調査では、66%の会員企業が「米中関係の緊張」を中国市場における事業リスクとして挙げた。

米国は8月、半導体や人工知能(AI)の分野で対中投資の規制強化を発表した。11月の首脳会談実現に向けて中国と調整を重ねるが、経済安全保障の観点からハイテク規制は続ける姿勢だ。米国企業などの対中投資はさらに細る可能性がある。

半導体分野では、すでに中国離れの傾向が鮮明になっている。米調査会社ロジウム・グループが調べた同分野の直接投資先をみると、2018年に48%だった中国のシェアは22年に1%まで下がった。

対照的に、米国は同じ期間に0%から37%に上がった。またインド、シンガポール、マレーシアの合計シェアも10%から38%に上昇した。

米中対立のほか、中国で7月に施行した改正反スパイ法も進出企業の警戒を強めた。スパイ行為の対象が広がり、摘発リスクが高まったとの受け止めが広がる。ニッセイ基礎研究所の三浦祐介主任研究員は「中国の法規制は透明性に欠けており、中国での事業継続への懸念を高める要因になっている」と語る。

中国企業の競争力向上などを背景に、中国からの撤退を選択する動きもある。電気自動車(EV)対応が遅れた三菱自動車は10月、中国の生産から撤退すると発表した。

外資の中国離れをうけ、中国は製造業の外資規制緩和などさらなる対外開放の方針も打ち出している。三浦氏は「外資は当局の安全保障を重視する姿勢に懸念を強めており、中国への慎重姿勢はすぐには変わりづらい」とみる。

米中対立の長期化をにらみ、中国は半導体産業における自前のサプライチェーン(供給網)構築を急ぐ。ただ必要な装置や部品の海外調達が滞っている。技術革新や生産性向上のペースが落ちれば、中国の経済成長を下押ししかねない。世界第2の経済大国とのデカップリング(分断)は世界経済の成長にも影を落とす。』