日本、対中東でバランス重視 ハマス非難・イスラエル憂慮

日本、対中東でバランス重視 ハマス非難・イスラエル憂慮
原油依存踏まえ独自路線探る
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA090ZH0Z01C23A0000000/

 ※ こういう「針の穴を通す」ようなものが、日本国の置かれている立場・地位だ…。

 ※ 「国益」を考えたら、どうしても「一方の勢力」だけに肩入れする…、というわけにもいかなくなる…。

『日本政府はイスラエルとイスラム組織ハマスとの衝突に関し、バランス外交に重点を置く。攻撃を仕掛けたハマスを非難する一方、イスラエルによる反撃にも憂慮を表明した。同盟を組む米国との歩調を意識しつつも、原油の大半を中東に依存する状況を踏まえ片方の立場に偏らない独自路線を探る。

岸田文雄首相は首相公邸で終日過ごした8日夕、ハマスのイスラエル攻撃についてX(旧ツイッター)へ「罪のない一般市民に多大な被害が…

この記事は会員限定です。登録すると続きをお読みいただけます。』

『岸田文雄首相は首相公邸で終日過ごした8日夕、ハマスのイスラエル攻撃についてX(旧ツイッター)へ「罪のない一般市民に多大な被害が出ており、我が国は、これを強く非難する」と投稿した。

同じ投稿でイスラエル軍によるガザへの反撃にも触れた。「ガザ地区においても多数の死傷者が出ていることを深刻に憂慮しており、全ての当事者に最大限の自制を求める」と訴えた。

主要7カ国(G7)の他の首脳は異なる。

バイデン米大統領やスナク英首相、カナダのトルドー首相らはハマスの攻撃を「テロ」と断じた。バイデン氏がXで「米国は引き続きイスラエル国民とともにある」と主張するなど各首脳はイスラエルとの連帯を強調した。

岸田首相はテロとの表現を避けた。攻撃の主体を「ハマス等パレスチナ武装勢力」とし、イスラム聖戦など他の組織の関与も示唆した。米国のようにイスラエル側に立つような文言も入れなかった。

岸田首相がイスラエルとハマスの衝突への見解を公表したのは8日夕のXが初めてだった。7日夜の外務報道官、8日午前の外相による談話と段階を踏んだ。米英の首脳はハマスによる攻撃から時間を置かず、それぞれ現地時間で7日のうちに発信していた。

日本政府は周辺国の動きを探っていたとの見方がある。近年、アラブ諸国はイスラエルとの関係改善を進めていたため、出方を見極めるのが難しい。アラブ首長国連邦(UAE)は2020年にイスラエルと国交を結び、サウジアラビアも国交正常化を見据える。

実際、アラブ諸国の反応には違いが生じている。サウジ外務省は7日の声明で「(イスラエルの)占領継続の結果、状況が爆発する危険性について繰り返し警告してきた」とパレスチナ側を擁護した。

UAEが8日に発表した声明はイスラエルを非難する文言がなく、双方に自制を求める内容だった。

日本がバランスを重視するのは原油輸入の大半を中東に依存するためだ。資源・エネルギー統計年報によると、22年の原油の地域別輸入量では中東が94%を占めた。サウジとUAE両国だけで76%に達する。

23年のエネルギー白書によると1次エネルギー自給率は21年に米国が100%を超えたのに対し、日本は13%に過ぎない。日本の外交・安全保障政策が米国との同盟を基軸としながらも、中東との関係では独自色を出すことがある背景だ。

たとえばホルムズ海峡周辺でタンカーへの攻撃が相次ぎ、米国が周辺を航行する船舶を守る有志連合を提唱した19年の対応だ。日本は米国の構想に加わらず、ホルムズ海峡を含まない形で自衛隊を独自に派遣した。イランとの関係に配慮した。

日本政府はイスラエルと将来独立したパレスチナ国家が平和かつ安全に共存する「2国家解決」も提唱してきた。当事者間の信頼醸成やパレスチナの経済支援に力点を置き、今後も継続する。こうした対応をとれるのは対米関係が安定していることが条件となる。

当面の重要課題は在留邦人の保護となる。外務省は8日、ハマスの攻撃を受けてイスラエルの安全に関するスポット情報を更新した。ガザ地区とその周辺に4段階ある危険レベルのうち2番目に高い「渡航中止勧告」を出していると改めて周知した。

「航空便の運航を含めて情勢は非常に流動的だ」とも強調し、空路で出国する方法がなくなる事態への懸念をにじませた。状況が落ち着くまでの間、イスラエルへの不要不急の渡航の延期を求めた。

【関連記事】

・EU、パレスチナ支援見直しへ 10日に緊急外相会合
・中国、ハマス非難せず 「破壊行為に反対」
・国連安保理、中東情勢を非公開協議 地域への波及懸念
・アジア各国、自国民保護急ぐ イスラエルに出稼ぎ数万人 』