中国政府、全国の融資平台に人民武装部を設置。
http://blog.livedoor.jp/goldentail/archives/32581542.html
『 融資平台というのは、いわゆる中国における第三セクターです。資本主義国で一般的に言われている第三セクターとは、意味と役割が、かなり違います。似ているのは、構造だけですね。では、中国における第三セクターとは、どういう組織かと言うと、役所の代わりに借金をしてくれる組織です。日本でも、地方債を発行しているように、行政組織が債権を発行して資金を集めるという事は、普通に行われています。ただし、中国の場合、放置しておくと、私腹を肥やす為に、適当な事業を作って、借金しまくる可能性が高いので、役所が発行できる債権には、上限が課せられています。
しかし、中央政府の命令で、武漢肺炎対策のように、いつ臨時出費を課せられるか判らない地方政府は、法律で決められた地方債の上限では、何かの公共事業をやる時に、まったく資金が足りないわけです。なので、融資平台という第三セクター(政府と民間企業の合資会社)を設立して、あくまでも、そこが借金するという形で、社債を発行します。この抜け道を使うと、公共事業単位で、いくつでも融資平台を設立できますから、事実上、無限に資金を集める事が可能です。そして、「暗黙の了解」として、融資平台のケツ持ちは、最終的に政府がする事になっているので、「安全な債権」として融資先として人気があるのです。
しかし、余りにも無計画にバカスカと設立した上、やはり汚職で、集めた資金の一部を懐に入れる為に、不必要な公共工事を起こしたりする事例が後を絶たず、今では不動産デベロッパーの不良債権の総額を上回る債務を抱えていると言われています。むしろ、こちらがパンクすると、政府の暗黙の保証が無くなるという事を意味しますから、恐らく暴動レベルの取り付け騒ぎが起きます。債権というのは、基本的に信用で成立している市場で、取り立てが厳密で容赦が無いのも、契約を最上の拘束事項として置いているからです。これが揺らぐと、金融システムの根幹が崩壊します。なので、債務というのは、何を置いても履行を迫られるのです。
そして、最近、この融資平台に、人民武装部を設置するという動きが出ています。これも、毛沢東時代に全盛を迎えた後、長期に渡って停滞して、ほぼ死語になっていた組織なのですが、ここにきて息を吹き替えしています。人民武装部とは、いわば民兵です。そして、民兵という言葉の意味は、その国の歴史で意味合いが変わってくるので、以前の投稿で説明したアメリカの民兵とは、まったく異なる意味を持つ組織です。
民兵の最も基礎的な定義は、普段は生計をたてる仕事に従事していて、有事に行動するべく、武器の取り扱いと、軍事行動の訓練を受け、武器の携帯を許された組織を指します。外から眺めた組織の構造は、これで説明できるのですが、それが存在する意味が、国によって違います。アメリカの場合、あくまでも市民軍であり、政府に所属しない市民の為の組織です。その役割は、国家が国民を裏切って暴走した場合、もしくは国家が危機に陥った時、あくまでも「市民の主体的な判断」で軍事行動を起こす武装組織です。つまり、政府の味方とも敵とも決まっていないフリーな武装組織です。
中国の人民武装部は、完全に共産党の下部組織として機能し、暴徒鎮圧などを目的とする組織です。中国には、警察の他、武装警察という装甲車や自動小銃まで携帯する準軍隊みたいな治安組織があるのですが、何しろ人民の数に対して数が足りません。いくら、装備が整っていても、群衆が押しかけて暴動が起きた場合、鎮圧が難しい場合があります。なので、暴動の対象になりそうな組織に、あらかじめ人民武装部という民兵組織を設置しておいて、起きた時に鎮圧にあたれるようにしておくのが人民武装部の設置が意味するところです。
そして、この組織を融資平台に置くという事は、そこに暴徒が押し寄せるような事が、将来的に起きるかも知れないので準備をしておくという事です。つまり、融資平台の債権の踏み倒しです。出資者へ債権の償還をしない、もしくは一部しかしないとなると、当然、群衆が抗議に押しかけます。それを、暴力で鎮圧する為の部隊を、予め設立しておくという事です。常備軍では無いので、費用が節約できますし、管理も楽になるので、警察・武装警察に次ぐ治安組織として、毛沢東時代には猛威を奮っていました。目的の為に、大概の事は許されるからです。
これは、襲撃の対象になりそうな組織が設立できる自警団みたいなものなので、銀行とか工場などでも設置できます。銀行の場合は、預金者の引き出しの拒否や、預金の横領に対する抗議デモ。工場の場合は、賃金の不払いに対する抗議デモを、暴力で鎮圧する為に普段から備えておくという事です。逆に言えば、人民武装部が設置されるような組織は、表沙汰になっていないだけで、何かしら人民が暴動を起こしそうな不祥事を抱えているという事です。それを、法律で解決するのではなく、暴力で鎮圧する為に人民武装部は存在します。中国の経済と治安は、次の段階にシフト・アップしたという事です。「中国経済復活の兆し」とか言う記事を見かけても、根っこが腐り始めているので、一時的なものだと考えましょう。どうせ、一時金を財政出動でぶっこんで、3ヶ月くらい問題が表面化しなくなったくらいの効果でしかありません。』