中国のオフィス空室率、ゼロコロナ下より悪化
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM192L00Z10C23A9000000/
『中国のオフィス空室率が新型コロナウイルスを徹底的に抑え込もうとした「ゼロコロナ」政策下よりも悪化している。景気回復がもたつくなか企業はコスト削減を続けており、オフィスの需給バランスが大きく崩れた。不動産業界は住宅の取引低迷も相まって二重苦の様相を呈している。
英国系不動産サービスのサヴィルズによると、中国の4大都市である北京と上海、広州、深圳の高級オフィス空室率は2023年4〜6月期、前年同期か…
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『英国系不動産サービスのサヴィルズによると、中国の4大都市である北京と上海、広州、深圳の高級オフィス空室率は2023年4〜6月期、前年同期から軒並み悪化した。空室率が最も高い深圳は4.1ポイント上昇の27%に達した。かつて低い空室率を誇り「優等生」とされた広州も、5.9ポイント上昇の20.8%と過去10年で最悪となった。
空室率の上昇に合わせて、賃料の落ち込みも激しい。北京では高級オフィス1平方メートルあたりの1カ月賃料が4〜6月期、312.5元(約6300円)と前年同期比で7.4%も下落した。
広州や深圳も下げた。
サヴィルズはオフィス市況の低迷について「経済環境における不確定性がある」と、表現こそ控えめだが、原因は構造問題にあると指摘する。新型コロナ流行に伴い、中国政府はヒトの移動制限を組み込んだ感染対策を敷いた。企業はそれに伴って在宅勤務対応を進めた。その結果、オフィスの賃貸契約を解約したり、移転縮小したりする動きが広がり、各都市で空室率が高まった。
厳格な感染対策は23年1月までに終了したが、それでも空きオフィスの増加に歯止めがかかっていない。新型コロナ流行前に着工したビルの完成が続いている一方で、需要の回復ペースが鈍いためだ。
そこには経済の先行きに対する企業の慎重さが透ける。例えば深圳や広州に拠点を多く持つネットサービス大手の騰訊控股(テンセント)。電子部品メーカーで不動産賃貸ビジネスも営む深圳市朗科科技は3月、テンセントに貸し出していたオフィス部分の契約が途中打ち切りになったと明かした。本来の契約期間は26年までで、かなりの前倒しでの解約だ。
テンセントの従業員数は23年6月末に10万4503人と、前年同期と比べ6%減少した。主力市場である中国で直近数年間、政府が業界締め付けを強めたことや消費の伸び悩みなどを背景に人員を絞り込んでいる可能性がある。雇用が減れば必要なオフィス空間も縮小する。
過去には、オフィスビルの空室が目立つようになると一部を住宅やホテルに用途変更することも多かった。中国では地方政府が土地使用権を不動産会社へ売却する際に用途を定めているため、こうしたケースの多くは違法だが地域によって横行していた。
広州と深圳に挟まれ、全国でもオフィス空室率が際だって高いとされる東莞の当局は今春、オフィスをアパートなどに転用することを厳しく制限する通知を出した。地元政府系メディアの解説によると「不動産市場の健全性への影響」を懸念しているという。
オフィスが居住用途に転換されれば、ただでさえ需要が振るわない住宅の相場を押し下げる可能性がある。かといって空きオフィスを長期間放置すれば開発企業の資金繰りは苦しくなる。中国不動産市場の需給調整には相当の時間がかかりそうだ。
(比奈田悠佑)』