米長期金利4.7% 政府閉鎖回避も「一時的」、警戒緩まず
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN02CXG0S3A001C2000000/
『【ニューヨーク=三島大地】2日の米債券市場で長期金利は一段と上昇(債券価格は下落)し、一時4.7%台と16年ぶりの高水準をつけた。米政府機関の閉鎖は土壇場でいったん回避したものの、財政を巡る混乱は続くとの投資家の不安は拭えず、債券売りが続いた。景気やインフレの底堅さを背景に米連邦準備理事会(FRB)が高い政策金利を長く維持するとの見方も影響した。
2日は長期金利の指標となる10年物国債利回りが一時、前週末比0.13%上昇の4.70%をつけた。4.7%台に乗せるのは2007年10月以来となる。
米議会では9月30日、予算執行を11月中旬まで継続できる「つなぎ予算」が成立し、政府閉鎖を回避した。それまでは政府閉鎖が実現すれば財政運営を巡る米国のガバナンス(統治)の脆弱さが露呈するとの見方から、米国債売りを招き長期金利が上昇していた。
市場の懸念は解消されたかに思われたが、債券売りは続いている。つなぎ予算は11月17日までで、2024会計年度の本予算は成立していない。米債券運用大手ピムコは「政府閉鎖からの猶予であって、完全な解放ではない」と指摘するなど、米財政を巡る混乱は根本的な解決に至っていないとの見方が強い。
FRB幹部による金融引き締めの長期化を連想させる発言も、金利の上昇圧力につながった。ボウマン理事は2日の講演で「インフレ率を2%の物価目標に戻すには、金利をさらに引き上げ、引き締め的な水準を維持することが適切だ」と強調。金融監督担当のバー副議長も同日、高金利を維持する期間について「一定程度の時間を要する」と述べた。
金利の上昇が景気の冷や水になるとの懸念から、2日の米株式市場では売りが広がった。ダウ工業株30種平均は続落し、前週末比74ドル安の3万3433ドルで取引を終えた。
日米の金利差拡大を受け、外国為替市場では円安・ドル高が加速した。一時1ドル=149円90銭台と、22年10月以来の円安水準を記録した。
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中空麻奈
BNPパリバ証券 グローバルマーケット統括本部 副会長
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今後の展望
11月17日までの“つなぎ予算”であっても、とりあえず政府機関閉鎖のリスクを回避したことは確かで一定の安心感はある。しかし、有効期間が一月半しかない中、政治ショーが固定化している現状を考えると、根本的な合意に至ることができるか、はつなぎ予算合意時点から理解されていたことなのに、まだ安心できない、と市場が疑念を投げかけている。この背景には米国の債務の膨張、それにかかる政治・政府のガバナンスが効かなくなってきていること、格付け機関がこれをネガティブに評価していること、があるであろう。加えて、米国景気に陰りが出て来ることが仮にあれば、それもあわせて米国の懸念材料になる可能性もある。
2023年10月3日 9:27
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上野泰也
みずほ証券 チーフマーケットエコノミスト
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ひとこと解説
「つなぎ予算」成立は、米議会においてぎりぎりのタイミングで成立した一時的な妥協にすぎない。したがって、債券相場への影響は自ずと限られる。米国の長期金利が上昇を続けており、イールドカーブ(利回り曲線)の逆イールドが徐々に浅くなってきている理由は、24年以降の利下げ観測の退潮にある。タカ派の中にはさらに複数回利上げすべしという意見もあるが、多数意見は利上げはあってもあと1回。2年債利回りは5%台前半で取引されており、足元の政策金利の水準(5.25~5.5%)に近い。一方、5年債利回りは4.7%台に上昇。向こう5年間の利下げが限られることを織り込みに行っている。10年債利回りと、ほぼ横並びである。
2023年10月3日 7:50 (2023年10月3日 7:52更新) 』