中国副首相が訪米検討 11月首脳会談にらむ、米報道
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN28D970Y3A920C2000000/
『【ワシントン=坂口幸裕】米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)は28日、米中の当局者が中国の何立峰(ハァ・リーファン)副首相の訪米を協議していると報じた。両国が合意している王毅(ワン・イー)外相兼国務委員が10月中に米国を訪れる案も検討しており、11月の米中首脳会談をにらんだ動きが活発になっている。
バイデン米大統領は中国の習近平(シー・ジンピン)国家主席と早期に会談する意向をかねて示し…
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『バイデン米大統領は中国の習近平(シー・ジンピン)国家主席と早期に会談する意向をかねて示してきた。米中は11月中旬に米西部カリフォルニア州サンフランシスコで開くアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議に合わせた対面会談を探る。
米中はブリンケン米国務長官が6月に中国を訪れたのを機に高官による対話を維持する。イエレン米財務長官やレモンド米商務長官が訪中したほか、サリバン大統領補佐官(国家安全保障担当)と中国の王毅(ワン・イー)共産党政治局員兼外相が9月中旬に地中海のマルタで会った。
ブリンケン氏は18日、ニューヨークで中国の韓正(ハン・ジョン)国家副主席と会談。米国務省によると、数週間でさらなる高官対話を実施すると確認した。念頭にあったのが何氏や王氏の訪米とみられる。首脳会談の地ならしと位置づけ、議題を話し合う可能性がある。
何氏は習氏側近の一人で、経済や金融を担当する。中国は低迷する経済のテコ入れを急ぐが、先端半導体の対中輸出を厳しく制限する米国との溝は深い。王氏の訪米を含め双方が歩み寄れる余地は乏しく、訪米でどこまで成果を出せるかは見通せない。
足元で米中は協力できる分野での協議を進める。米財務省は9月22日、中国と経済・金融分野の作業部会を設けると発表。米国防総省も同日、米中の国防当局がサイバー分野をテーマに同部会を開いたと公表した。
北朝鮮が27日に決めた米兵解放を巡っても、北朝鮮から移送する際に中国が協力した。WSJは米政府高官の話として、サリバン氏がマルタで王氏と会談したときに話題になったと伝えた。
サリバン氏が米兵解放を受けた声明で「円滑な移送を支援してくれた中国政府に感謝する」と記したのは中国への配慮にほかならない。
米国は24年11月に大統領選を控え、与野党が対中強硬に傾く。再選をめざすバイデン氏も内政事情を考慮し、台湾や人権などの幅広い問題で対立する米中が偶発的な軍事衝突の回避して関係を安定させるには首脳間の意思疎通が必要だとの思いが強い。
米国務省のミラー報道官は27日の記者会見で「指導者同士の意思疎通に代わるものはない」と述べ、首脳会談の重要性を強調した。
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川島真
東京大学大学院総合文化研究科 教授
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ひとこと解説 米中関係は全体として「競争」を基調にし、衝突しない、協力すべきは協力する、という原則を掲げている。だからこそ、両国は関係をmanageすることが必要になる。これは米中双方で確認している方向性だ。
何立峰の訪米については、第一に今年のうちにバイデンー習近平の首脳会談を実現すべく、副主席、副首相レベルでの交流を重ねて「地ならし」をするということ、第二に劉鶴にかわる経済担当副首相となった何とアメリカ側のパイプ作りを行うことが目標となろう。
しかし、何に劉鶴の代わりが務まるか否かは未知数だ。この訪問が実現すれば、アメリカ側が何に経済・財政専門家としての実力がどの程度あるのかを確認する機会となろう。
2023年9月29日 7:08 』