対中依存脱却へ「日本の重要性高まる」 米大豆輸出協会

対中依存脱却へ「日本の重要性高まる」 米大豆輸出協会
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN270BZ0X20C23A9000000/

『【セントルイス(米中西部)=朝田賢治】米国の大豆農家や貿易業者がつくる米大豆輸出協会(USSEC)の北東アジア地域代表、ロズ・リーク氏が日本経済新聞のインタビューに答えた。世界最大の大豆消費国の中国が米中対立で輸出市場として不確実性が高まるなか、日本市場の重要性が高まっていると指摘。ニーズに応じた生産物の輸出を強化する方針を示した。

米国は年間1億2000万トンの大豆を生産し、ブラジルに次ぎ世界…

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『米国は年間1億2000万トンの大豆を生産し、ブラジルに次ぎ世界2位の規模を持つ。生産量の半分や輸出向けで、世界最大の消費国である中国向けが過半を占める。

中国は米国との貿易摩擦が激化した18年に対抗措置として米国産大豆の輸入を縮小。同年の対中輸出は前年比74%減の823万トンに減少した。22年には3000万トン台まで回復したが、ピーク時の16年の3600万トンの水準には戻っていない。

中国は食料安全保障の観点からブラジル産へのシフトや国内生産の強化を進めていて、米農家にとって不確実性が高まっている。

リーク氏は「中国は非常に重要なパートナーだが、複雑な問題もある」と語り、輸出先の中国依存度を減らす必要がある強調した。「常に輸出先の多角化を目指し、大豆の消費を促進する」と述べ、日本や東南アジア諸国などへの輸出拡大を探る考えを示した。

インタビューに応じるUSSECのロズ・リーク氏

USSECは1956年に日本に事務所を開設した。日本は大豆消費量のうち94%を輸入でまかない、輸入大豆の7割が米国産だ。最近は健康志向の高まりで植物性たんぱく源として注目され、足元で増加傾向にある。

リーク氏は「日本の市場は非常に安定的だ」と指摘。「長期的な取引関係を見失わないように慎重に活動している」として、日本市場の重要性が高まっていると述べた。

ただ、成長性では他国より見劣りする。日本の消費者が求める「非遺伝子組み換え大豆や生産過程の透明性」の面で柔軟にニーズに応えることで、生産物の付加価値を高め、収益拡大を目指す考えを示す。

地球温暖化対策で企業は「スコープ3」と呼ばれる取引先や供給網全体を含めた温暖化ガスの排出量の開示を求められる傾向が強まっている。リーク氏は米国の大豆は「事実に基づいたデータを提供する能力がある」とし、環境対応農産物としての需要も開拓する方針だ。

リーク氏は「日本政府が和食文化や日本の食品の輸出を増やそうとしていることは米大豆産業にとっても商機だ」と語った。日本からの輸出用食品の原料向けに米国産大豆を売り込むチャンスがあるとして、日本の食品メーカーへの売り込みを進めていると述べた。