米政府、中国での先端半導体増強5%に制限 旧式は10%
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN2303X0T20C23A9000000/
『【ワシントン=飛田臨太郎】米商務省は22日、半導体の政府補助金を受け取る企業へのルールを発表した。日本や台湾、韓国など世界の企業を対象に中国で半導体製造を10年間、制限する。先端品は5%、旧世代のレガシー半導体は10%までしか増強を認めない。
米政府は3月にルール案を公表し、企業側から意見を聞いていた。今回が確定版で11月末に発効する。
米政府が創設した補助金は半導体製造におよそ400億ドル(約…
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『米政府が創設した補助金は半導体製造におよそ400億ドル(約5兆円)を充てる。台湾積体電路製造(TSMC)や韓国サムスン電子、米インテルなどのグローバル企業が活用を見込んで米国内での工場建設を進めている。
世界各国の企業に中国市場と米国の二者択一を迫る形だ。企業側からは見直しを求める声が噴出していたが、米政府は大幅な修正は認めなかった。ルールに違反した場合には補助金を返還しなければいけない。
先端品では製造能力の定義にウエハー製造やパッケージングも含める。製造ラインに加えクリーンルームや物理的スペースも考慮に入れ、製造能力を5%以上増やしていけない。企業は中国での新規投資が事実上、大幅に制限される。
レガシー品はデータを処理する「ロジック」は28ナノ(ナノは10億分の1)以上、長期記憶用のNANDは128層以下と説明した。生産能力を10%以上増やすのを禁じる。
規制対象国には中国だけでなくロシアやイラン、北朝鮮もはいる。補助金を受給した企業は安全保障上の懸念のある中国企業と共同研究や技術供与ができなくなる。
米政府は中国との半導体を巡る技術競争が安全保障の根幹になるととらえている。レモンド商務長官は声明で「これらのガードレールが国家安全保障を守り、米国が今後数十年にわたり優位に立ち続ける助けとなる」と強調した。
米政府によると、半導体の政府補助金に世界の企業から、およそ400件の関心が示されている。同盟関係にある日本の企業にも活用を呼びかけている。
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