ゼレンスキー氏、安保理でロシア批判 独自和平案を提示
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN200RA0Q3A920C2000000/
『【ニューヨーク=吉田圭織、藤田祐樹】ウクライナのゼレンスキー大統領は20日、同国をめぐる国連安全保障理事会の特別会合に出席し、自国への侵攻を続けるロシアを批判した。独自の和平案も提示した。
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和平案について、ゼレンスキー氏は「ウクライナの(独立直後の)1991年時点の国境までロシア軍とロシア艦隊が完全に撤退するよう呼びかける」と述べた。ウクライナによる自国国境と、黒海とアゾフ海を含む排他的経済水域(EEZ)の完全な管理再開を求めた。
国連改革についても言及した。安保理でのロシアの拒否権発動でウクライナ侵攻をめぐる行動がとれないと指摘し「国連総会に安保理で行使された拒否権を覆す力を与えるべきだ」と訴えた。「国境の保護をめぐって人類は国連への期待を失った」とも強調した。
安保理について、アジアがより幅広く代表されるべきだとも指摘した。「日本やインド、イスラム諸国が常任理事国として参加できないのは異常だ」と語った。
ロシアのラブロフ外相も安保理会合に出席してウクライナや米国からの批判に反発した=国連の公式動画
ロシアは会合でラブロフ外相が発言したが、ゼレンスキー氏が去るまで登場しなかった。ウクライナの演説中はロシアの国連大使が出席し、ゼレンスキー氏とラブロフ氏は顔を合せなかった。
ラブロフ氏は「91年時点の国境まで戻す要求は誰にしているのだ。関連する領土の(ロシア語話者の)住民はウクライナ政府によって脅威にさらされている」とゼレンスキー氏の提案を拒否した。
国連のグテレス事務総長は会合の冒頭で「ロシアのウクライナ侵攻は明確な国連憲章違反だ。地政学的な緊張を高め、地域情勢を不安定にしている」と述べた。
岸田文雄首相も安保理会合に出席した。3月にウクライナを訪問したことに触れて「その時の胸の張り裂けそうな思いは決して忘れない。日本はウクライナと共にある決意を新たにする」と語った。
ロシアを「国際法の明確な違反であり、最も強い言葉で非難する」と断じた。「ロシアの核による威嚇、ましてやその使用は断じて受け入れられない」とも訴えた。
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植木安弘
上智大学グローバル・スタディーズ研究科 教授
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分析・考察
ゼレンスキー大統領の安保理演説は、軍事侵略された被害国として当然ながらロシアや機能不全に陥った安保理に対する不満の現れとなった。と同時に、現時点での和平達成へのゴールが2014年ではなく1991年時点での国境ということが明言された。これはロシアにとっては受け入れられるものではないが、ゼレンスキー大統領にとってみれば、国内政治上現時点で独立後の領土割譲を受け入れることはできない。安保理改革でも常任理事国のロシアの拒否権を総会で覆すことは国連憲章上できないが、総会を政治的に上手く活用することはできる。例えば、総会で黒海穀物協定の復活を強く要求する決議などは途上国の支持を受けやすいと言える。
2023年9月21日 7:15』