竹中平蔵「厚生年金は廃止するべきだ」日本人は90歳まで働くことになる…私が両親を看取った経験から感じたアンフェアな介護制度
https://news.yahoo.co.jp/articles/db3bc6447e838176ee531cf32d387b4d1b1a3cb2?page=1
※ 今日は、こんな所で…。
※ 人間、生きて行くには、金がかかる…。
※ ましてや、「要介護」状態になれば、なおさらだ…。
※ 「年金」や、「保険」のお世話になるわけだが、そういうものの「し組み」、「どれくらい貰えるのか」なんてことは、情報収集済みなのか?
※ 大体、分岐点は、2つある。
※ 20才になったとき(国民年金の掛け金はらう年齢)と、40才になったとき(介護保険の掛け金をはらう年齢)だ…。
※ そういう「節目の年」に、きちんと情報収集して、大体の「人生設計」をやっておくべきだ…。
※ 年取って、仕事ができなくなったとしても、誰も助けてはくれないぞ…。
『9/19(火) 17:10配信
みんかぶマガジン
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自分の父親・母親を見送った経験からいうと、人間が穏やかに一生を終えていくのも、ものすごい手間がかかりますーー。経済学者の竹中平蔵氏はそう振り返る。竹中氏といえば「日本人は90歳まで働くことになる」という持論からネット上では議論を巻き起こしたが、その一方で日本の介護制度や年金制度に対しても問題意識を持っている。みんかぶプレミアム特集「逃げる介護」第1回は、竹中氏がサステナブルな制度を提唱するーー。
介護離職は日本経済において、大きなロスである
人間が教育をうけて一人前になるには20年ほどの大変な手間暇がかかります。そして、自分の父親・母親を見送った経験からいうと、人間が穏やかに一生を終えていくのも、ものすごい手間がかかります。お金もかかりますし、時間もかかります。
今、私が懸念しているのは、これから日本で介護難民が増えることです。今の日本社会では個人ベースでも社会ベースでも介護に対して十分な備えができていません。
まず社会ベースでできていないというのは、介護施設が足りていません。とくに都市部では高齢者人口が急増しており、若い世代の介護者も不足しています。そのため、その分、要介護者の子供たちに負担がかかります。大会社の管理職だって介護のために仕事を辞めなくてはいけない人がたくさんいます。それはその人の人生にとっても辛いことであると同時に、日本経済においても大きなロスになります。
日本人は長く生きた時の備えをこれまでしてこなかった
個人的に備えができていないというのは、その親自身が自分に介護が必要になるかもしれないのに、そうなった時のためにお金を蓄えていないということです。日本人はこれまで生命保険など死んだときのための備えをしてきましたが、長く生きたときの備えは年金しかありませんでした。
そもそも年金とは年金だけで老後の生活ができるようには設計されていません。なぜかといえば、そんなに国民がお金を払っていないからです。だからこそ個人年金を入るべきなのですが、多くはそうしてきませんでした。90歳まで生きるなら90歳まで人は食わないと生きていけません。65歳で仕事を辞めるなら25年間は自分でどうやって食うのか考えておかないといけない。ただ、本来はそうやって自分の老後の設計をしなくてはいけないのに、年金に対する勘違いなどによってそれを怠ってきた人がいます。
とくに日本の年金は払わなくても罰則はありません。日本の年金は払った額によって受け取れる額もかわりますが、少なく払った人はその分そのため受け取る額も少なくなってしまいます。北欧並みに年金をもらうためには自分の給料の七割ほど納める必要がでてきます。それはそれで大変ですが、日本ではそういう制度になっていません。そういったことも背景に、日本では自分に介護が必要になったとき、十分なお金を持っていない方が多くみられるのです。』
『このままでは子供の金銭的負担が増え続ける
自営業だった私の親もそうでした。詳しい額はお伝えできませんが、私は相当額の介護費用を兄弟と一緒に負担してきました。今は一人っ子家庭も増えているので、このままでは子供の金銭的負担が更に増えることになりそうです。
さて、そんな今の年金制度も本当にフェアなのかといえば、そうも思いません。国民に一定の現金を支給する「ベーシックインカム」(最低生活保障)を導入すれば年金なんて必要ないと思いますが、なかなか物事はすぐには変わりません。いずれにせよ、支払った年金が少なかった人はもらえる年金も少なくなってしまいます。
その一方で支払う側の負担は増えていっており、2022年度の国民年金保険料月1万6590円は30年前より6890円増えました。しかし40年間満額で支払った場合に受け取れる老齢基礎年金額は2004年度の月6万6208円から2022年度は月6万5075円に減っています。払うお金は増えているのに貰えるお金は減っています。
企業勤めで給料の高い人がたくさんもらえるような制度で本当にいいのか
日本の年金は3階建てと言われています。1階は国民全員を対象とする国民年金で、2階は所属企業などが半分を負担する厚生年金。3階が私的年金になります。
企業勤めで給料の高い人がたくさんもらえるような制度で本当にいいのか。私は公的年金は1階部分のみを残し2階の厚生年金は廃止し、3階と同様に民営化するべきだと思っています。そもそも日本の年金はもともと保険であり共助のはずです。1階・2階とも税金が投入されており、実質的には公助になっています。今後の人口構成を考えれば、今の年金制度を維持するためには年金保険料の上昇だけでなく、税金も上げる必要も出てきます。増税により若い世代の生活が苦しくなっていく中で親の介護の負担が重くのしかかってしまっては負のスパイラルを生み出すだけです。
厚生年金を民営化すれば、当然国による税負担は少なくなり、国民の負担も軽減することになります。民営化によって年金の総支給額は減ることも考えられる一方で、やり方によっては現状の制度よりも総支給額は増えることにもなりえます。繰り返しになりますが、日本の年金制度はそれだけで暮らせるようには設計されていません。年金を利用した上で、自分はどんな老後を過ごしたいのか国民は熟慮する必要があります。
竹中 平蔵 』