https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN131AW0T10C23A9000000/
『【ワシントン=中村亮】米国防総省は12日、サイバー戦略の要約を公表した。中国が有事で米本土にサイバー攻撃を仕掛けて米軍の展開を妨害する可能性があると指摘した。同盟国のサイバー防衛支援に向け、専門家の派遣を推進する。
戦略は「サイバー作戦は米国や同盟国の軍事力にとって不可欠な要素であり、統合抑止力の中心的な要素となる」と強調した。「この決定的な10年間において我が国の成功は、自由で開かれた、安全なサイバー空間に依存する」とも明記した。
バイデン政権は国家防衛戦略で中国を「だんだんと深刻になる挑戦」と位置づけた。サイバー戦略も「他の統合戦闘領域と同様にサイバー空間でもそれが当てはまる」と言明し、中国のサイバー能力に懸念を表明した。
「中国の勝利理論は米国や同盟国、パートナー国の統合軍の戦闘能力を弱体化させるためにサイバーに依存する」と分析した。米本土の港湾や空港、鉄道などを念頭に中国が有事に米国へサイバー攻撃を実施し、米軍の動員を遅らせるシナリオに触れた。
ロシア軍がウクライナ軍の補給網や民間インフラなどに繰り返しサイバー攻撃していると断言した。「それらの取り組みは限定的な結果しか生んでいないが、これはウクライナのネット網の強靱(きょうじん)性や国際社会からの支援が主因だ」とした。
同盟国やパートナー国と情報共有や相互運用性の向上を進めるうえで、サイバー防衛の支援がカギを握るとの見方も示した。同盟国などを通じて米軍の機密情報などが盗まれるリスクがあるからだ。
対策として、米サイバー軍の「ハント・フォーワード作戦」を推進すると説明した。同作戦は相手国の要請に応じ、専門家を派遣して相手国のサイバー網で活動中の敵を発見する。ロシアによる侵攻前にウクライナで実施して成果をあげた。
サイバー防衛強化は日本にとって課題になる。米紙ワシントン・ポストによると、米政府は2020年秋に中国軍のハッカーが日本の防衛機密にアクセスしていると発見した。日本政府にサイバー防衛の強化を求めたという。
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