米印とサウジ・UAE、中東に鉄道網構想 中国対抗で
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN081H00Y3A900C2000000/
『【ニューデリー=坂口幸裕】米政府高官は8日、中東で大規模な鉄道網を整備する構想をサウジアラビアやインド、アラブ首長国連邦(UAE)と検討していると明言した。中国の広域経済圏構想「一帯一路」に対抗する。米メディアによると、9?10日にインドで開く20カ国・地域(G20)首脳会議に合わせ合意する可能性がある。
米ニュースサイトのアクシオスによると、4カ国で議論しているのは中東の湾岸諸国を鉄道網で結び…
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『米ニュースサイトのアクシオスによると、4カ国で議論しているのは中東の湾岸諸国を鉄道網で結び、中東とインドも航路でつなぐ計画だ。サウジとイスラエルが関係を正常化すれば、同国の港を経由して欧州まで拡大する案も話し合っているもようだ。鉄道が通る国など詳細は明らかになっていない。
米ホワイトハウスのサリバン大統領補佐官(国家安全保障担当)は8日、インドに向かう大統領専用機で記者団に「パートナーと力を注いできた構想だ」と認めた。「インドから中東を経由する欧州への接続は非常に重要で、関係するすべての国に大きな経済的、戦略的利益をもたらす」と強調した。近く合意できるかは明言を避けた。
2021年に設けた中東のインフラ計画を話し合う米国、インド、イスラエル、UAEの4カ国による枠組み(I2U2)で構想が浮上し、サウジも協議に加わった。米シンクタンク米国平和研究所によると、I2U2は民間協力を含む水、エネルギー、輸送、宇宙、健康、食料安保の重要6分野の課題に取り組む。22年7月には初の首脳会合も開いた。
インフラ支援は米政府が中東への関与を立て直す戦略の一環になる。一帯一路を含む経済協力などを通じ、地域で影響力を強める中国を意識する。対立が続いていたイランとサウジアラビアは3月に中国の仲介で外交正常化にこぎつけた。
米国はイランを共通の脅威と定め、イスラエルとアラブ諸国の連携を志向する。サウジとイランの外交正常化でイスラエルとサウジが国交を結ぶ想定が狂った。
バイデン氏は中東戦略の要となるサウジ、イスラエルの首脳との関係がぎくしゃくする。鉄道網構想で合意できれば実力者ムハンマド皇太子と話し合う余地ができる。今秋にはイスラエルのネタニヤフ首相を米国に招く意向で、両国との関係修復を急ぐ構えだ。
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松尾博文
日本経済新聞社 上級論説委員/編集委員
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分析・考察 イスラエルとアラビア半島を結ぶ鉄道網の構想はかねて存在している。
イスラエルとサウジの関係正常化を探るサリバン米大統領補佐官がこの夏、サウジを訪れた直後、私はイスラエル入りする機会があり、ネタニヤフ首相が「地中海と(紅海に面したイスラエル南部の)エイラートへ、さらにはサウジを経てアラビア半島を鉄道で結ぶ」と意欲を見せていた。実現すれば、映画「アラビアのロレンス」に登場する、オスマン帝国末期にダマスカス(現シリア)とメディナ(現サウジ)を結んだヒジャーズ鉄道の再来となるロマンあふれる構想だが、スエズ運河経由の海運ルートが存在する今日、アラビア半島を横断する鉄道輸送需要がどこまであるのか疑問である。
2023年9月8日 13:52 』