VW「EVに対して消費者が消極的なのでEVが売れず、工場を6週間閉める」。

VW「EVに対して消費者が消極的なのでEVが売れず、工場を6週間閉める」。やはりEVはメーカーが笛吹けど消費者が踊らず、早々にEVシフトを行ったメーカーにはダメージが及ぶ?
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『投稿日:2023/06/30 更新日:2023/06/29

| そうなると、EVシフトが遅れた日系自動車メーカーの「大勝利」に |
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| そうなると、EVシフトが遅れた日系自動車メーカーの「大勝利」に |

世の中、いったい何が起きるかわからない
フォルクスワーゲンはあわせて従業員の削減も発表
フォルクスワーゲンは今後の方針の見直しも必要?

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世の中、いったい何が起きるかわからない

さて、フォルクスワーゲンが「EVが売れない」としてドイツ北西部にある自社のエムデン工場の一部を6週間閉鎖するもよう。

この情報は、エムデン工場の労働者評議会代表であるマンフレッド・ヴルフ氏がドイツ通信社および現地メディアに提供したもので、これによって電気自動車ラインの工場労働者は1ヶ月の夏休みを延長され、1つのシフトは2週間連続してキャンセルされると報じられています。

この対応により影響を受けるモデルは(SUVの)ID.4と次期電気セダンのID.7だとされ、ID.7については今年4月に発表されて生産を待機していたという状況ですが、つまり発売が遅れるということに。

なお、同じ工場にて生産している、パサートを含む内燃エンジン搭載モデルの生産に影響はない、とされています(こちらはいつもどおり生産される)。

フォルクスワーゲンはあわせて従業員の削減も発表

マンフレッド・ヴルフ氏はあわせて工場従業員の削減も発表しており、1500人の臨時従業員のうち300人は”2023年8月に契約が更新されない”といい、つまりフォルクスワーゲンとしてはEVの販売について「見通しが暗い」と捉えていると考えていいのかも。

実際のところ、マンフレッド・ヴルフ氏は「EVの需要は当初の生産台数と比較して30%減少しているうえ、潜在的なEV購入者は(EV購入に対し)消極的な態度を示している」とも語っており、つまりアーリーアダプターがEVを購入して以降、通常の消費者=マジョリティがEVを購入していないのだと考えられ、すでに(一旦の)需要を満たしてしまったのかもしれません。

よって、ニーダーザクセン州の経済大臣であるオラフ・リース氏は「フォルクスワーゲンのエムデンにおける決断は “理解できる “」と語るとともに、この販売不振を打開すべく付加価値税(VAT)の引き下げとEVへの追加優遇措置を求めているそうですが、この導入には時間がかかり、導入されたとしても効果が目に見えるようになるまでにはずいぶん時間がかかるものと思われます。

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フォルクスワーゲンは今後の方針の見直しも必要?

フォルクスワーゲン・グループにおける、2023年第1四半期の欧州での販売台数は前年同期比68%増、米国での販売台数は98%増と目覚ましい伸びを示したものの、フォルクスワーゲングループ最大の市場であり、世界最大のEV市場でもある中国の販売台数は25%減少したとも報じられており、この状況は同グループにとって「かなり危険な」信号ではないかと解釈しています。

なぜかというと、中国は現在EVの販売を促進するためにありとあらゆる政策を推進しており、そしてその政策の恩恵を受けるのは「比較的安価なEV」を製造する中国の新興EVメーカーばかりだとされ、割高に感じられる欧米の自動車メーカー製EVは「ほとんど選ばれない」ため。

そしてフォルクスワーゲンのように中国への依存度が高く、かつ「EVメーカーへの転換」を図っている場合、(内燃エンジン車で損失をカバーできないため)中国市場でのシェアをどんどん失ってゆくことになり、しかし販売を回復させるために値下げを行うと”さらに自分の首を絞める”ことになり、つまりもう打つ手がなくなってしまうわけですね。

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ただ、こういった状況はフォルクスワーゲンに限ったわけではなく、ほかの欧米の自動車メーカーそして中国の自動車メーカーも同じだとされ、しかし中国のEVメーカーはこの状況を打開するために「なりふり構わぬ値下げ」を行ってくるであろうという予測もあり、そうなるとますます欧米自動車メーカーのEVが売れなくなるのかもしれません。

一方、日本の自動車メーカーは「EVで出遅れた」ために失うべきEVの販売がそもそもなく、さらには他の既存自動車メーカーが続々と内燃機関から撤退しているため、むしろブルーオーシャン化してきた内燃機関搭載車市場にて春を謳歌できる可能性もあり、もしかするとこの数年といった短いタームにおいては、「先んじてEVシフトを進めた欧米の自動車メーカーが壊滅的な打撃を受け」、その一方では「EVシフトに乗り遅れた日本の自動車メーカー」のほうが小さな打撃で済む(他が撤退したといえども内燃機関車市場そのものも縮小する)可能性も考えられます。

まだまだ結果は見えないものの、もしかすると日本の自動車メーカーは”怪我の功名”にて体力を失わずに済み、その体力をもって「先発組がバトルロイヤル状態で共倒れした」ところへ余裕をもって参戦できるということになるのかも。

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参考までに、フォルクスワーゲンは昨年、エムデン工場をMEBプラットフォームをベースとした電気自動車用に改修し再整備するために約11億ドルを投資する計画を発表しており、現在その計画を進行させていますが、「このまま進むか、戻るか」を決める段階にあるとも考えられ、今後どう判断するのかは興味のあるところです。

なお、ベントレーやメルセデス・ベンツも既存の内燃機関車用の工場を「EV用に」改装しているものの、これらの場合はそもそも「中国車と競合する価格帯ではない」ためにフォルクスワーゲンとは多少事情が異なると考えられます。※VWの場合、中国製EVがその代替となりうる

フォルクスワーゲンは現在世界中の複数の拠点で電気自動車を製造していて、そのうちの4拠点がドイツ(エムデン、ハノーファー、ドレスデン、ツヴィッカウ)に存在し、中国だと安亭市と佛山市、そしてアメリカではテネシー州チャタヌーガに工場を所有していますが、早すぎたEVシフトの影響が他の工場にも波及する可能性があるのかもしれません。』