欧州勢はPHV注力、合成燃料でEV戦略に変化 独車ショー

欧州勢はPHV注力、合成燃料でEV戦略に変化 独車ショー
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR021370S3A900C2000000/?n_cid=SNSTW006&n_tw=1693870968

 ※ 「ゴリ押し」は、「現実」の前に敗れる…。

 ※ 何を購入するのかは、「ユーザー(金払う人)」が、決定する…。

 ※ 『2035年に登録される新車はすべてゼロ排出車両となります。欧州内の信頼性あるネットワークでドライバーが充電・燃料補充を確実にできるようにするため、修正版の代替燃料インフラ規制により、加盟国にはゼロ排出車両販売とともに充電器の拡充をし、主要高速道路上では特定の区間ごと(電気充電:毎60km、水素燃料:毎150km)に充電及び燃料ポイントを設置することを要求します。』…。

 ※ かつては、こういうことを言っていた…。

 ※ まったく、どの口が言ってるんだか…。

 ※ ドイツ御三家の「高級車」を買うような層は、「e-fuel(イーフューエル)」(現状、普通のガソリンの5倍くらいの価格)の値段なんか、気にしないだろうからな…。

 ※ 全ては、「御三家」の生き残りのためにか…。

『2023年9月5日 5:00

【ミュンヘン=林英樹、上海=若杉朋子】欧州車大手がエンジンとモーターで動くプラグインハイブリッド車(PHV)に力を入れる。開催中のドイツ・ミュンヘン国際自動車ショーではBMWなど独車大手が電気自動車(EV)と並べてPHVを目玉として展示した。欧州で2035年以降も合成燃料を使ったエンジン車の販売が認められたことが各社の戦略に変化をもたらしたようだ。

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メルセデス・ベンツグループの展示ブースで人だかりが絶えないのが、欧州で発売したばかりの高級車「Eクラス」セダンのPHV版だ。EVモードでの航続距離は最大115キロメートルと競合他社を上回る。欧州で販売するEクラスセダンのモデル数を増やし、半分をPHVが占めるようにする。EVシフトを鮮明にしてきた中で異例の動きだ。

BMWも欧州で販売する5シリーズのPHVに新型を追加した。オリバー・ツィプセ社長は「新しい世代の電動車に、優れたエンジン機構を備えたPHVを追加する意義は大きい」と語る。

欧州自動車工業会(ACEA)によると、新車販売に占めるPHVなどハイブリッド車(HV)のシェアは7月に34.5%に達し、ガソリン(同35.8%)に肉薄する。EVに加え、PHVの販売も伸びている。

PHV見直しを大きく後押ししたのは、欧州連合(EU)の方針転換だった。35年以降、エンジン車の新車販売を全面禁止する方針を撤回。温暖化ガス排出をゼロとみなす合成燃料の利用に限って、エンジン車の販売を継続できるようになった。

再生可能エネルギーからつくる合成燃料は製造コストが高く、販売価格は現状、ガソリンの6〜10倍だ。ガソリン価格に近づけるための大量生産には時間がかかる。そこで各社はガソリンと電気を使い分けることで、高価な合成燃料の消費量を大幅に抑えられるPHVやHVの需要が高まるとみて、戦略を微調整している。

もうひとつの理由が中国市場での挫折だ。独車3社を合わせたPHVの中国での工場出荷台数は1〜7月の累計で3万台強。比亜迪(BYD)1社の4%にとどまる。EV販売でも中国市場で苦戦するが、PHVではそれ以上に存在感が薄れている。

中国汽車工業協会によると、1〜7月の新車販売台数(輸出を含む)でPHVの販売台数は約126万台と、前年同期比87%増だった。PHVの伸び率は、同じ期間で8%増だった新車市場全体のみならず、EVの増加率をも上回った。

比亜迪(BYD)のPHV「秦PLUS DM-i」(4月、上海市)
中国ではEVの普及が急速に進む一方で、大型休暇の際などに充電設備に長蛇の列ができる様子が報じられている。長距離移動の際も電池切れの心配がないことから、PHVを選ぶ人が増えている。

中国のPHV市場ではBYDが高いシェアを握っており、「秦PLUS DM-i」などの売れ行きがいい。最廉価モデルは10万元(約200万円)を切り、ガソリン車と比べてもコストパフォーマンスがいい車種もある。浙江吉利控股集団など競合もPHVの車種を拡充しており、欧州勢もてこ入れに乗り出した。中国市場で一敗地にまみれた欧州勢だが、お膝元の欧州市場では反転攻勢にでる構えだ。

HVやPHVでは中国や欧州のメーカーに比肩する品ぞろえを備える日本勢にもチャンスはあるはずだ。消費者の支持が広がるPHVで勢いをつければ、EV出遅れの挽回につながる可能性もある。

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中西孝樹
ナカニシ自動車産業リサーチ 代表アナリスト
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ひとこと解説 プラグインハイブリッド(PHEV)に復調の流れが生まれています。2026年の欧州タクソノミーからの除外やユーロ7規制導入、米国加州ACC-IIで2035年ZEV100%のうちPHEVは20%までなど、一時はPHEVは全く先が見えない状態でした。しかし、中国におけるプラグインハイブリッドの破竹の成長と米国、日本、アジアでの市場性の再認識からPHEVへの期待は復活しています。ただし、日本車のPHEVはコストが弱点です。特に、中国市場向けのPHEVは日本車メーカーに取っては喫緊の開発課題となっています。BYDのDM-iに対抗しうる中国ローカルの技術を盛り込んだシステムが必要となっています。
2023年9月5日 19:07 』