ローマ教皇、モンゴルでミサ 中国念頭に関係強化図る

ローマ教皇、モンゴルでミサ 中国念頭に関係強化図る
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCB032Q70T00C23A9000000/

『【ウランバートル=共同】モンゴルを訪問中のローマ教皇フランシスコは3日、首都ウランバートルでミサを執り行った。壇上で香港の司教らと手を取り合い「高貴な人々へ」と中国国民に語りかけ、「良きキリスト教徒、良き市民であってください」と中国国内の信者に促す場面があった。

モンゴルはバチカンと国交のない中国と結びつきが強く、今回の訪問では中国を念頭に、隣国のモンゴルとの関係強化を図ったとの見方もある。バチカンは欧州で唯一、台湾と外交関係がある。

教皇はミサの最後で、香港教区トップの周守仁司教らと一緒に壇上に立ち、中国の国民や信者にメッセージを送った。ロシアによるウクライナ侵攻などの悲劇が世界中で起きている中、会場の聴衆に対しては「平和の種になって、絆を強めよう」とも呼びかけた。

モンゴルのカトリック信者は約1400人だが、地元当局によると会場には国内外から2千人以上が詰めかけた。中国の国旗を掲げる人たちの姿もあった。

教皇は2日、モンゴルのカトリック関係者を前にした演説で「政府はカトリック教会の活動を恐れる必要はない。政治的な意図はないからだ」と述べた。宗教活動への統制を強化する中国政府を意識した可能性がある。

教皇は1日にウランバートルに到着し、2日にフレルスフ大統領やオユーンエルデネ首相と会談。3日午前にはモンゴルのチベット仏教やイスラム教、ロシア正教会の指導者らと面会し、宗教間の対話の重要性を訴えた。

1949年に大陸で政権を握った中国共産党は51年、駐南京のバチカン公使を追放した。』