「一帯一路は経済協力の基盤」 駐日中国大使が寄稿

「一帯一路は経済協力の基盤」 駐日中国大使が寄稿
呉江浩氏
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCB317VQ0R30C23A8000000/

『中国の呉江浩・駐日大使が日本経済新聞に寄稿した。習近平(シー・ジンピン)国家主席が2013年に提唱した広域経済圏構想「一帯一路」から10年を迎え、実績と成果を強調。各国が協調する「経済協力のプラットフォームである」とし、各国から債務返済の代わりにインフラ使用権を得る「債務のワナ」が狙いとの見方を否定した。

今年は一帯一路の共同建設を提唱してから10年になる。中国が世界的な金融危機後にこのイニシアチ…

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『現在、中国は152の国、32の国際機構と約200の共同建設文書に調印し、3000余りの協力プロジェクトを立ち上げている。中国は率先してアジアインフラ投資銀行(AIIB)、シルクロード基金を設立して投融資をおこない、世界銀行などと有益な協力を進めている。

中国と沿線諸国の13〜22年の財貿易は約2兆ドル(約290兆円)へと倍増した。双方向の投資は2700億ドルを超え、40万ほどの雇用を創出している。

多くの沿線諸国が道路をつくり、橋を架け、港を開き、通信網を築いた。インフラはますます整備され、経済発展の見通しは明るい。(中国と東南アジアのラオスを結ぶ)中国ラオス鉄道は、ラオスが「陸で囲まれた国」から「陸でつながった国」に変わるのを助けた。』

『インドネシアの首都ジャカルタと主要都市バンドンを結ぶ高速鉄道は、同国や東南アジアにとって初の高速鉄道となり、(一帯一路の一環である)中国・パキスタン経済回廊(CPEC)は、パキスタンに全国の3分の1の電力を届けた。

モルディブには海をまたぐ大橋ができ、ギリシャのピレウス港は地中海一の総合的港湾に変貌した。世界銀行の見通しでは一帯一路で参加国の貿易が4.1%伸び、外資による投資が5%伸び、低所得国の国内総生産(GDP)が3.4%伸長。30年までには毎年全世界に1兆6000億ドルの収益をもたらし、4000万近い人口の貧困脱却を助けるとしている。』

『一帯一路の建設の成果は衆目の一致するところで、沿線各国の人々に現実的な福祉をもたらしている。だが、一帯一路をよく知らない、または偏見を抱く人が、いわゆる「地政学的手段」「(中国の発展)モデルの輸出」「債務のワナ」などマイナスの論調をふりまき、「一帯一路の大義はどこにあるのか」と疑っている。これは道理を説いて正す必要がある。

一帯一路はともに協議・建設・享受する原則を守っている。「ともに協議する」とは広く知恵を集め、各国の利益や懸念に合わせて配慮することだ。「ともに建設する」とは共同参加を体現し、それぞれの強みと潜在能力を生かすこと。「ともに享受する」とは互恵とウィンウィンの関係を貫き、利益を満たし必要に応えることだ。

一言でいえば、各国が合意して着手し、各国が連携して建設し、各国がともに分かち合うことだ。』

『一帯一路は地政学的なゲームの道具ではなく、経済協力のプラットフォームだ。この10年、中国は一帯一路での協力を通じた勢力圏(の拡大)を求めておらず、政治的条件を付けていない。どちらかに付くように扇動しておらず、先進国を含むすべての国がともに参加することを歓迎している。

経済協力の旗を振って、他国の内政や外交に手を突っ込んだり、軍事同盟や武力干渉などの手段によって戦略的利益を拡大したりする一部の国の行為とは本質的な違いがある。

一帯一路はモデルの輸出ではなく、最良の実践的な経験を分かち合うために力を尽くしている。イニシアチブは中国が呼びかけたが、参加方式は完全に各国の自由意志の原則によっている。

中国は世界の開発モデルは一つしかないと考えたことはなく、各国がみな自身の国情を基に、適切な開発の道を選ぶべきだと強調している。中国は各国と開発の経験を分かち合い、ともに「パイ」を大きくすることを願っている。イデオロギーや社会制度、開発モデルを他国に押し付けたことはない。』

『一帯一路には「債務のワナ」はない。世銀のデータによると、今後7年で中低所得国は債務の元利として計9400億ドルを支払わなければならない。そのうち西側の商業債権者と多国間機関への返済額が67%を占め、中国政府と商業機関への返済額は14%にすぎない。

スリランカを例に取ると、中国はその対外債務の約10%を占めるにすぎない。ハンバントタ港のフランチャイズ協定は、両国の企業が平等・自由意志の原則にのっとり、友好的協議を経て結んだ互恵とウィンウィンの協定だ。

双方の強みを生かし、同港をインド洋の物流・海運・産業センターとすることに狙いがあり、この協力は着実な進展をみせつつある。スリランカ政府は繰り返し、中国は一貫してスリランカの開発の追求や、民生の改善を支持しており、債務のワナは根も葉もない、西側の作り話にすぎないと公に表明している。』

『目下、世界の景気回復は幾重もの挑戦に直面している。陣営の対抗を挑発し、デカップリング(分断)や供給網(サプライチェーン)の分断を吹聴することは、百害あって一利なしである。

世界が対抗か協力か、もしくはゼロサムかウィンウィンかの岐路にある時、一帯一路の協力とウィンウィンの関係という理念は時代的価値が一層際立っている。当然、国際社会が堅持すべき「大義」である。』

『中国と日本は地理的に隣り合い、インフラやサプライチェーン、低炭素などの分野でそれぞれ強みを持つ。第三国との市場協力の見通しは極めて明るく、両国の企業と金融機関はすでに海外でいくつかのプロジェクトを成功裏に進めている。

中国は間もなく第3回「一帯一路国際協力サミット」を開催する。各国の開発戦略や地域協力イニシアチブとの連結を一段と強化し、貿易と投資の自由化や円滑化を推し進める。インフラと物流網の整備を加速し、地域の産業チェーン・サプライチェーンの安定と円滑さを保証する。

中国は各国と共同で一帯一路の質の高い発展を図り、世界に福祉をもたらすこの道を、より広く、より長くできるよう期待している。日本のサミット参加を歓迎し、中日がより多くの実務協力を繰り広げ、一帯一路のチャンスを両国の国民により良く及ぼさせ、さらには全世界の平和、発展と繁栄を促進できることを期待する。』