ドイツの経済指標がボロボロ。経済の牽引役が喪失したEU
http://blog.livedoor.jp/goldentail/archives/32279497.html
『昨日、ドイツの製造業PMI、サービス業PMIが発表されたのですが、いずれも50を下回る悪い数字になりました。この指標は、50が好調・不調の分岐点になっていまして、1動くというのは、実経済では、かなりの影響が出た結果になります。製造業PMIが予想38.7に対して、39.1。サービス業PMIが予想51.5に対して、47.3です。製造業は予想より良いじゃないかと見れますが、元の数値が悪すぎます。30台というのは、相当に厳しい数字です。
一つは中国経済の不調が、ドイツにも影響しているという事がありますが、一番の原因は、エネルギー価格が高騰している点です。既に採算割れが解消せず、製造自体を止めてしまった製品があり、それが結構、他の製品の重要な資材だったりして、連鎖的に製造業の弱体化。エネルギー価格の高騰による、消費の低迷による経済の不調が定着しつつあります。ドイツ経済については、過去に何回か記事にしていますが、EUの中で1人勝ちしてきました。というのは、経済の実力から言って、ドイツ単体の通貨の為替レートは、もっと高いのですが、ユーロという統合通貨に含まれる事によって、希釈されて、安いレートで海外に製品を売ることができたのですね。なので、経済は好調でした。
そもそも、経済規模や好不調がバラバラの各国の通貨を統合しているので、ユーロの価値を調整するのは、難しい作業になります。人がどう工夫しようと、経済規模が大きく、生産価値の高い国が利益を総取りする傾向を、ひっくり返す事はできません。なので、ドイツが負担額を増やして、財政の厳しい国に支援をする形で、EU全体の経済価値を担保している関係になります。国が地方行政に交付金を支給するのと同じです。
その牽引役の経済が、急速に悪化しています。まず、家庭用の電力の負担は、単純計算で2倍になりました。今年の1月に100%の値上げを決めたからです。これにより、標準的な家庭の年間の光熱費は、37万円から75万円に増えました。この電力料金高騰の原因は、もちろんロシアからのガスパイプラインが停止した事が第一です。液化天然ガスに変えて、船で運搬する事と、ガスのままパイプラインで送る事を考えたら、その費用の差は歴然としています。そして、原子力発電所も、とうとう全部止めてしまいました。既に全体に対する比率は、6%程度でしたが、これを他のエネルギーで代替するとなると、それは大きな費用の負担になります。
これにより、欧州経済の優等生と言われていたドイツの経済は、病人と称されるようになっています。それでも、ドイツにはフランスという原発大国の保険があるので、干上がる危険は少ないです。その辺りが、全力で突っ走って、袋小路に入ったイギリスと違う点です。島国では、他からの送電をあてにする訳にはいかないのです。それは、日本にも言える事です。ドイツがどうであろうと、日本は日本なので、土地に合わせた対策をしないと、イギリスみたいに詰みます。
そもそも、イギリスが前倒しでEV販売100%、ガソリン車販売禁止を決めたのは、COP26の議長国で、当時のジョンソン首相が議事をリードする為に発表したものです。多分に政治的な話なんで、統計や実勢を検討した結果ではないですね。いわば、ファンタジーです。まぁ、政治的な体面というのは、実に本当に進めないといけない施策にとって、害でしかないです。プーチン氏がバフムト攻略に拘ったのも、政治的な体面ですしね。
これを受けて、ユーロは下げましたねぇ。まぁ、今は円だけがゼロ金利政策を主要国で唯一続けていて、基本的に弱いので、さほど対円では、大きく動きませんでしたが、欧州経済に暗雲を感じさせる材料です。
ちなみに、「貯蓄から投資へ」とか言って、やたら国民に投資を進めてきていますが、ろくな金融教育もないまま投資に誘う行為自体が、ほとんど犯罪です。ようは、我々は銀行預金をする事で、間接的に金融投資をしています。銀行が元本保証で、預金を運用して利益を出し、利子として預金者に還元しているからです。しかし、今、これが厳しい。だから、「自分の責任で、直接投資をしてね。もちろん、リスクも全部、自分で背負ってね。これで、金が回るから経済も活性化するし、失敗しても個人が痛むだけだから、ノープロブレムだね」というのが、日本の現状です。自分の意思でやった事なら、誰かのせいにする事ができない。なので、直接投資をしろというのが真意です。
ちなみに、今頃になって「中国の土地バブルがぁ~」、「恒大不動産が~」、「カントリーガーデンが~」とか話題になっていますが、債券市場では、既にここいら辺りの損失は、織り込み済みです。債権価格の下落という形で、中国経済に賭けた債権投資家は、損を確定して、既に次の行動に移っています。彼らにとって、中国の主な不動産企業が危機に直面するのは、空気を吸うごとく当たり前の事であり、今更騒ぐ事ではありません。もし、直接投資で金融に関わろうとしたら、個人で、このレベルの勉強が必要ということです。それでも、読み間違えれば、損失を出します。そういうリスクを説明しないで、資産運用をしようなどと誘うのは、実に危ないです。』