安保理「過去のもの」 国連事務総長、BRICSで改革要請

安保理「過去のもの」 国連事務総長、BRICSで改革要請
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR24CIB0U3A820C2000000/

『【ヨハネスブルク=木寺もも子】国連のグテレス事務総長は24日、南アフリカで開かれているブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカ(BRICS)の拡大首脳会合に出席した。国連安全保障理事会や既存の国際金融システムが「昨日の世界を反映したもの」だとして早急な改革を促した。

グテレス氏は、既存の国際秩序が「アフリカ諸国の多くが植民地支配を受けていた第2次世界大戦後につくられた」と指摘。特に安保理や、国際通貨基金(IMF)、世界銀行などのブレトンウッズ機関について「改革しなければ(世界の)分裂は避けられない」と警告した。

「グローバルサウス」と呼ばれる新興・途上国の間では、常任理事国の5カ国が拒否権を行使する国連安保理の機能不全や、IMFなどの融資条件が厳しすぎることへの不満がある。

BRICS首脳会議では、サウジアラビアやイランなど6カ国が新たにBRICSのグループに正式に加入することが決まった。首脳会議の議長国・南アによると、加盟を申請している国は6カ国を含め20カ国以上に上る。

グテレス氏はBRICSの拡大については直接コメントしなかった。しかし発言には、西側中心の国際秩序に不満を持つ国々が中国主導のBRICS拡大に乗り、米欧などとの亀裂を深める構図への危機感がにじんだ。

グテレス氏は「力強い多国間組織がなければ不安定化を招き、(大戦など)混乱のきっかけにもなりうることは歴史が示している」と強調。先進国に対し、これまでに約束しながら未払いの途上国支援などを実施することも求めた。』