米軍基地にマルウエアか 中国の工作と推定、有事に起動

米軍基地にマルウエアか 中国の工作と推定、有事に起動
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCB302I90Q3A730C2000000/

『【ワシントン=共同】米紙ニューヨーク・タイムズは29日、米領グアムなどにある米軍基地につながる送電や通信、用水を操作するコンピューターネットワークの深部に、マルウエア(悪意のあるソフト)が仕掛けられていたことが分かったと報じた。米軍や米情報当局者は中国側の工作の一環とみている。

マルウエアは有事に発動させる仕組みで、例えば台湾に軍事侵攻した際に起動させて米軍を混乱に陥れ、台湾防衛を遅らせるような意図があるとみられる。米政府はマルウエアの探索や分析、除去を進めている。

5〜6月にバーンズ駐中国大使ら米政府関係者のメールアカウントが中国のハッカー集団の攻撃対象になっていたことが最近明らかになった。今回のマルウエアは、マイクロソフト社がグアムなどの通信システムに不審なプログラムを見つけたことがきっかけで5月後半に判明した。巧妙に埋め込まれており、全容の把握には至っていない。

米情報当局は中国側の動きを探るため、あえてマルウエアを埋め込んだまま動静を注視する対応も検討したが、結局発見次第、除去を進める方法に決めた。
多様な観点からニュースを考える

※掲載される投稿は投稿者個人の見解であり、日本経済新聞社の見解ではありません。

渡部恒雄のアバター
渡部恒雄
笹川平和財団 上席研究員
コメントメニュー

分析・考察

ロシアのウクライナ侵攻に際しても、マイクロソフト社がロシアがウクライナに仕掛けたマルウェアの除去を行い、プーチン大統領の当初のハイブリッド戦争の計画を失敗させ、ウクライナに親露政権を誕生させることを防いだといわれています。

この記事で書かれているように、中国側が台湾統一を進める際に、米軍の初動を遅らせ、米軍が台湾防衛に動く前に台湾を制圧できるという確信があれば、台湾への武力行使のハードルが下がります。

米軍が中国のマルウェアについて除去を進め、情報を公開したのは、台湾を始め、関係国にその危険性を喚起し、中国のハードルを上げるためのものと考えられます。当然ながら在日米軍と日本も対象です。

2023年7月31日 8:25』