中央銀行のあくなき金買い 購入量最高、外貨準備を分散

中央銀行のあくなき金買い 購入量最高、外貨準備を分散
ルポ迫真 揺らぐドル1強(2)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR18BCC0Y3A710C2000000/

『トルコの最大都市、イスタンブール旧市街にあるグランドバザールでいま、貴金属店が活況を見せる。バザール全体の金取引量は今年に入って前年同期比5割増で推移する。

ベテランの金商人、メフメト・アリ・ユルドゥルムテュルクは「トレンドは外貨より金だよ」と自信を見せる。

通貨価値が不安定な新興国ではもともと、金の人気が高い。インドのニューデリーで暮らす60代男性は2月、結婚式を挙げる息子に大手財閥タタ・グル…

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『通貨価値が不安定な新興国ではもともと、金の人気が高い。インドのニューデリーで暮らす60代男性は2月、結婚式を挙げる息子に大手財閥タタ・グループ系の店で120万ルピー(約200万円)の金を買った。まとめ買いの理由は「金の価値は常に安定している」からだ。

トルコの投資コンサルタント、トレ・バイラムは6年前から数カ月ごとに金を積み立ててきた。2022年に80%を超えたインフレ対策としてドルなど外貨も買うが、主軸は金だ。

「当局が相場に介入する外貨より、金の価値は安定している」。トルコ当局は市場介入や銀行への指導などを駆使し、リラの対ドルでの急落を抑えてきた。政治的な思惑で動かない金の安定感にひきつけられるのは、個人だけではない。

世界の中央銀行が金の保有を増やしている。国際調査機関、ワールド・ゴールド・カウンシル(WGC)によると、中銀による金の純購入量(購入から売却を差し引いた値)は22年に1135トンと、統計を遡ることができる1950年以降で最高だった。23年1〜3月の純購入量も1〜3月として10年以降で最高に達した。

楽天証券の協力を得て分析したところ、22年までの過去10年で金保有量を最も増やしたのはロシアで、2.4倍の2333トンになった。中国人民銀行(中央銀行)の金の保有量も6月末時点で約2113トンに達し、8カ月連続で前月末を上回る。トルコも3位に食い込んだ。

ドルと金の交換レートを固定していたブレトン・ウッズ体制が崩れたニクソン・ショックから52年。ドルはずっと基軸通貨として機能してきたが、リーマン・ショック後の2010年ごろから始まった金市場への資金シフトは足を速めている。

マーケットエッジ代表の小菅努は米欧による対ロシア制裁で「ドルなど『西側』資産は保有リスクが高いとの認識が高まり、外貨準備の分散として発行体のない金買いが加速した」と見る。中銀のあくなき金買いはドルの存在感低下の裏返しでもある。

(敬称略)

(木寺もも子、花田亮輔、松本桃香)

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