大阪 電車内切りつけ「うろついた後、突然」負傷の乗客が証言

大阪 電車内切りつけ「うろついた後、突然」負傷の乗客が証言
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230724/k10014140061000.html

『2023年7月24日 5時43分

23日、大阪・泉佐野市を走行中の電車内で、乗客ら3人がナイフで切りつけられ、37歳の男の容疑者が逮捕された事件で、容疑者は車内をうろついた後、駅に到着する直前になって突然、切りつけていたことが乗客への取材でわかりました。

23日、大阪・泉佐野市を走行中のJRの電車内で、乗客と車掌あわせて3人が顔や首、手をナイフで切りつけられてけがをした事件で、警察は、住所・職業不詳の清水和也容疑者(37)を殺人未遂の疑いで逮捕しました。

警察によりますと、調べに対し容疑を認め、「乗客とトラブルになった」という趣旨の供述をしているということです。

警察によりますと、容疑者は逮捕された際、ナイフを3本持っていたということで、警察が当時の状況や動機を調べています。
切りつけられた男性(23)「突然、首のあたりに強い衝撃」

被害に遭った3人のうち、はじめに切りつけられ、顔や首にけがをした23歳の会社員の男性が23日夜、NHKの取材に応じ、当時の電車内の状況などを語りました。

男性は当時、友人と温泉に行くため電車に乗っていて、進行方向に向けて設置された1人がけの座席でイヤホンを付けてスマートフォンの動画を見ていました。

事件の前、容疑者は車内をうろうろ歩いたり、座っていた乗客に顔を近づけたりしていて、不審に感じていました。

そして、電車がりんくうタウン駅に近づいたあたりで、突然、首のあたりに強い衝撃を感じ、切りつけられたことに気付きました。

男性は「切りつけられたときは、突然、後ろからハンマーでたたかれたような感覚でした。驚いて容疑者を後ろに押しのけ、前の車両に逃げようとしたとき、右手に刃物を持っているのが見えました。無我夢中だったので、痛みは感じませんでしたが、首から血が流れているのがわかり、刺されていることに気がつきました」などと当時の状況を話しました。

男性は病院に搬送され、首に4針、こめかみに3針縫うけがをしたということです。

容疑者とは面識がなく、事件の前、トラブルも目が合ったこともなかったということで「無関係の人を事件に巻き込まないでほしいですし、なぜこんなことをしたのかきちんと説明してほしいです」と話していました。
手にけがをした男性(79)「無表情で逃げることもなく」

同じ車両に乗り合わせて、手にけがをした79歳の男性も取材に応じ、事件当時の容疑者の様子を話しました。

男性は、事件発生当時、同じ車両に乗っていて、自分の後ろ側で人がもめているような様子に気付いて振り返るとナイフを持った容疑者とそれを制止しようとする車掌が見えました。

車掌は容疑者に対し、「やめてください」と話し、乗客には「近づかないで」と呼びかけていたということです。

その後、男性は近くの座席の上にナイフがあるのに気付き、手に取って、容疑者に対し「お前のか」と聞くとうなづくようなそぶりを見せたということです。

男性は「容疑者は無表情で私の問いかけに対し、うなずくようなそぶりを見せたあと、私の手からナイフを抜き取りました。その際、指が切れてけがをしました。容疑者は逃げることもなく落ち着いた様子で、駅に到着したあとも自分で電車を降りてホームに立っていました」と当時の状況を振り返りました。

そのうえで男性は「いつも利用する電車で今回のような事件が起き、今振り返ると怖いです」と話していました。』