映画バービーが波紋 南シナ海問題で「中国寄り」
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN14CGZ0U3A710C2000000/
『ベトナムはバービーの配給を禁じたという=AP
映画バービーが波紋 南シナ海問題で「中国寄り」
【ワシントン=中村亮】バービー人形の実写版映画「バービー」に波紋が広がっている。南シナ海の領有権問題に関し、中国寄りと受け取れる描写があるからだ。
来週に一般公開が始まる予定のバービーでは、イラスト調のカラフルな世界地図が登場する。「アジア」と記された地域の海に複数の点線が引かれており、中国が南シナ海のほぼ全域に管轄権を持つと主張する際に使う「九段線」との見方が広がった。
国連海洋法条約に基づくオランダ・ハーグの仲裁裁判所は2016年に下した判決で九段線に国際法上の根拠がないと認定した。中国は判決を受け入れずに南シナ海の実効支配を続けている。
米野党・共和党のマーシャ・ブラックバーン上院議員は7月上旬、ツイッターで映画に関し「中国共産党による南シナ海での領有権の主張を支持している」と指摘。「バービーは手っ取り早く利益をあげるために中国へ服従したようだ」と批判した。
共和党のマーク・グリーン下院議員もバービーを配給する米ワーナー・ブラザースに関し「中国が南シナ海の大半を支配するという地図を世界に広めるのであれば次回のアクション映画では国防総省への協力要請を考え直すべきだろう」と指摘した。
国防総省は6月、法律に基づいてエンターテインメント業界向けの指針を改定。企業が中国共産党や中国政府によるコンテンツの検閲を受け入れている証拠が見つかった場合に制作協力をしないと規定した。
米議会を中心にハリウッドが売り上げを重視して中国に配慮しているとの不満が根強いことを映す。
中国と領有権を争う東南アジアでも懸念が出ている。ロイター通信によると、ベトナムは国内の配給を禁じた。フィリピンは公開を認めるが、世界地図をぼかすように要請したという。
米メディアによると、ワーナー・ブラザースは声明で「落書き(の地図)はバービーがバービーランドから現実世界に旅をするように見せる描写だ。いかなる主張もする意図はなかった」と説明した。』