「大就職氷河期」の中国で、高学歴の若者が路上で売るもの
https://news.yahoo.co.jp/articles/9a916a3c8bb89d05f1013900a88d3b3c84d30b95
『「ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス卒業。政治学の知識、売ります。得意分野はロシア・ウクライナ問題、近代化論、ポピュリズム、新自由主義のジレンマ」
【動画】哲学を学ぶ博士課程の学生が、1回88元(約1740円)で売るもの
そのポスターは「ザ・ペーパー」などの中国メディアに取り上げられ、注目を集めた。高等教育を受けた中国の若者たちがいま、道に出て「知識の露天商」を始めている。就職市場で苦労するなか、自らの学歴を生かすための策である。米メディア「クオーツ」によると、16歳から25歳の中国人の若者のうち、5人に1人は無職だという。
労働市場に対する彼らの疑問、不満はいまに始まったことではないが、パンデミックによってさらに強まった。2021年には「寝そべり族」が登場。これは、中国共産党が推奨する「生産主義」に対抗した、「怠ける権利」の主張運動である。こうした疑問の表れとして、最近、新たに知識の路上販売が出現したのだ。
クオーツはこう指摘する。「大学を卒業した何百万もの若者が、職業的展望が学歴と見合わないという未来に直面している」
教養ある若者たちのこうした行動は、国内だけでなく海外にも波紋を広げる。カナダに拠点を置く中国語のオンラインテレビ局「Creaders.net」は、「高学歴な若者による露店がインターネット上で話題になっている」と伝えながら、「おもしろい経験とは言えども、学生研究員が生活のためにこうしたことをせざるを得ないのは、落ちぶれたと感じる人もいる」と報じる。「親たちは子供の進学のために大変な努力をしてきたが、子供たちが路上で商売をしているとなると、その努力の意味も疑わしい」という声もある。
物乞い識者がシンボルに
米メディア「セマフォー」は、こうした若者の動揺が、予期せぬブームを生んでいると報じる。中国で最近ミームとして流行している、「孔乙己(コンイーチー)」のことである。その人物がいま、インターネット上で若者たちの象徴になっているというのだ。
孔乙己とは、20世紀初頭に書かれた魯迅の小説に登場する人物だ。小説のなかで孔乙己は、博学にもかかわらず仕事が見つからず、路上で物乞いをすることになる。
しかし、国営メディアは若者たちを安心させようと躍起になっている。国営放送「CCTV」はこう報じたという。「孔乙己の時代はとっくに過ぎ去った」』