「国家安全」重視の習氏 体制維持へ外国組織警戒―中国・反スパイ法改正
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『【北京時事】中国が反スパイ法を改正した背景には、習近平国家主席(共産党総書記)が「国家安全」の確立に神経をとがらせていることがある。「国家安全」は外交・国防分野の安全保障だけでなく、経済や社会、文化の領域でも「政権に脅威がない状態」を指す。習氏は、米国をはじめとする外国の組織が「国家安全」を脅かすと警戒しているもようだ。
政府、新たな邦人拘束懸念 中国の反スパイ法、運用不透明
「直面する国家安全の複雑さ、困難さは明らかに増大している」。5月末、内外の治安問題を担当し、習氏がトップを務める国家安全委員会は、共産党体制が危機に直面しているという見解を示した。米中対立の激化によって状況はさらに厳しくなると予想しているとみられ、同委は「重大な試練への準備」も呼び掛けた。
2012年に習政権が発足して以来、「国家安全」の確保を目指し、同委の設置や反スパイ法の制定などが進められた。これらの組織・法が整備されたのは「外国勢力が少数民族や反体制派と連携することを、習氏が恐れているためだ」(外交筋)と指摘される。
習氏は権力基盤を固め異例の3期目入りを果たしたが、「国家安全に対する不安」はますます強まっているようにさえ見える。総書記3期目入りを前にした昨秋の党大会では「国家安全の保障は民族復興の基盤だ」と強調。「効率的で権威ある国家安全の指導体制を整える」と訴えた。
この方針を受け、人事面でも国家安全を重視する布陣が敷かれている。スパイ摘発を担う国家安全相を務めていた陳文清氏は、最高指導部メンバーに次ぐ地位の政治局員に昇格し、警察や司法を統括する強大な権力を握る党政法委員会トップに就任した。
後任の国家安全相には、習氏に近い陳一新氏を起用。同氏は今年6月、「(反スパイ法により)国外のスパイ機関による活動を厳しく取り締まる」と表明した。 』