米ブラックロックCEO、ESGの用語「もう使わず」
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN26CDP0W3A620C2000000/
※ 『ESGとは、環境(Environment)、社会(Social)、ガバナンス(Governance)の頭文字を取って作られた言葉です。気候変動問題や人権問題などの世界的な社会課題が顕在化している中、企業が長期的成長を目指す上で重視すべきESGの観点での配慮ができていない企業は、投資家などから企業価値毀損のリスクを抱えているとみなされます。
そのため、ESGに配慮した取り組みを行うことは、長期的な成長を支える経営基盤の強化につながると考えられています。』…。
※ 「戦争」起これば、「長期的な成長を支える経営基盤」もへったくれも無くなる…。
※ どこぞの「火山」の「大噴火」で、世界全体のCO2の「削減量」の1年分が、吹き飛んだ…、という話しもあったな…。
※ 「火山の噴火」なんてのは、世界規模で見れば、毎日どこかで起きているような話しだろう…。
『【ニューヨーク=竹内弘文】世界最大の資産運用会社、米ブラックロックのラリー・フィンク最高経営責任者(CEO)は25日、ESG(環境・社会・企業統治)という用語を自身としては「もう使うつもりはない」と述べた。保守強硬派と左派の双方がESGという言葉を「誤解」して「攻撃材料として使う」ためという。
米西部コロラド州アスペンで開いたイベントに登壇した際に述べた。フィンク氏は例年、投資先企業のCEOや株主に宛てた手紙で気候変動対応などの重要性を説いてきた。旗振り役としてESG投資の普及に貢献した一方、政治的な反発も招いてきた。
右派は「ウオーク・キャピタリズム(社会正義に目覚めた資本主義)」と批判し、運用会社の役割を超えた行為とみる。南部フロリダ州のロン・デサンティス知事は2022年、ブラックロックが運用していた州の資金20億ドルを引き揚げた。一方、気候変動対策を重視する左派には運用会社の取り組みが不十分との不満が渦巻く。
フィンク氏は25日のイベントで「手紙は政治的な主張ではなく、長期的な問題を明らかにするために書いた」と説明した。「顧客が脱炭素化を望むなら喜んで協力する。ただ、民主党支持の州だろうが共和党支持の州だろうが、資産保有者と協力して長期的な解決策を構築する手助けをするのが私たちの仕事だ」と述べた。
23年3月に出した投資家宛ての手紙では、気候変動対策について一定の紙幅を割いた半面、「少数株主である私たちは企業に指示を出す立場にはない」ともつづっていた。24年に大統領選を控える米国では、ESGという用語が帯びる政治性はいっそう強まりかねない。運用会社が政治との距離感で苦慮する場面は増えていきそうだ。
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吉高まり
三菱UFJリサーチ&コンサルティング フェロー(サステナビリティ)
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ひとこと解説
国連責任投資原則の2006年の発足以来、財務、非財務情報を統合し長期視点で評価することをESG投資という言葉で表していた。
政治的配慮もあるだろうが、統合化がデフォルト化し始めているともいえる。長期資金の投資判断・運用においてESGと非ESGと分ける必要はない。
ESGやSDGsのそれぞれの項目は相互に連動しており、財務にも影響を及ぼす。気候変動がそのよい例だ。今や気候変動は、エネルギー、サプライチェーンだけでなく、人権、健康問題と密接だ。サステナブル経済に関する警鐘が増えれば増えるほどリスクと機会に影響する。長期資金であればこれは自然の流れだろう。
2023年6月27日 8:06
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今村卓
丸紅 執行役員 経済研究所長
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分析・考察
米国で強まる親ESGと反ESGの板挟みになり、苦痛に耐えられなくなったのでしょう。ESGに付随する政治性が先鋭化する党派対立に共鳴した米国固有の現象だと思います。
とはいえ、米国以外のESGを推進する側も本当にESGを世界に広げたいのなら、ESGに伴う政治性をもっと自覚し思慮深く発言し行動すべきだと思います。政治性は反対派にとっては独善性、強要されたと思う側は抵抗、反発します。この点で今のESG推進派は無邪気にもみえます。私が話を聞いた共和党関係者も、個々の企業が自ら進めるESGには反対しない、許せないのは政策にESGという特定の主張を盛り込むこと、ESGの政治化への反対だと強調していました。
2023年6月27日 9:05 (2023年6月27日 9:09更新)
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小山堅
日本エネルギー経済研究所 専務理事 首席研究員
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ひとこと解説
脱炭素化を目指すエネルギー転換は、エネルギーの需給構造だけでなく、それを支える社会システムやインフラ・供給チェーン全体の抜本的な変革を必要とするため、それを可能とする投資が不可避である。そしてその投資のためのファイナンスが重要なカギを握る。脱炭素化の重要性と共に、エネルギー安全保障や安定供給の重要性が昨年来一気に高まり、エネルギー全体に対する投資・ファイナンスを巡る状況にも、これまでとは異なる動きが現れつつある。今回のフィンク氏の発言や行動も、そうした変化の一つとも見なされる。ファイナンスの重要性を考えると、今後の実際の市場におけるファイナンス・投資の流れや動きがどうなるか、要注目である。
2023年6月27日 7:12
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小平龍四郎
日本経済新聞社 上級論説委員/編集委員
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別の視点
米国におけるESGの政治化は見ていてしんどく、やや大げさですが、「言葉狩り」に近いものも感じさせます。来日する米資産運用会社の方々が取材で「ESGは聞かないで」と条件をつけることもあります。「ESG投資の成り立ち、実践と未来」(本田桂子、伊藤隆敏)によれば、ESGという言葉が最初に使われたのは2004年。国連の呼びかけで欧米の資産運用会社が”Who Cares Wins”という報告書をまとめるなかで使われました。長期投資のリスク管理ツールだったものが、いつしか企業に社会変容を促す市場の圧力と同義になったところに問題があります。日本の証券会社が投信を売るセールストークに矮小化したのも残念でした。
2023年6月27日 8:48 (2023年6月27日 9:52更新)
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諸富徹
京都大学大学院経済学研究科 教授
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別の視点
ESG投資の旗を振って目立ってしまったフィンクが、飛び交う弾丸を避けるため頭をすくめたいのは理解できる。だが「ESG」を避けたところで、赤く染まったニューヨークの空が示す温暖化の現実が消えてくれるわけではない。また、世界の投資の奔流が気候テックに向かうのを保守派が止められるわけでもない。結局は、ESG投資が慈善行為でなく収益性の高い投資であることを実績で示すしかない。2020-21年実績では、3種のESGインデックスが全世界株価指数(ACWI)を上回り、GPIF選定のESGインデックスの多くが主要株式指数を上回った。問題はESG/非ESGではなく、どう巧みにESG投資を実行するかではないか。
2023年6月27日 9:19
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蛯原健
リブライトパートナーズ 代表パートナー
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別の視点
この数年で極まりつつあるポリティカルコレクトネス至上主義的な風潮に対するバックラッシュ(反動)現象のひとつとして捉える事も出来るだろう。左右の両方の論陣から批判を受けている事もそれを裏付ける。
2023年6月27日 8:40
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慎泰俊
五常・アンド・カンパニー株式会社 代表取締役
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分析・考察
アメリカではかなり早いタイミングからラリー・フィンクがESGを推してきたので、バックラッシュも早かったですね。人々が両極端に分かれ、事実や論理ではなく感情によって議論が成立しなくなるのはとても悲しいことですが、ソーシャルメディアを強く規制しない限りこの流れは止まらないと思います。
日本においても対岸の火事ではなく、もう少しすると似たようなことが様々な領域で起きると思います。LGBTQ関連ではすでに起こり始めている気もします。
2023年6月27日 7:09 (2023年6月27日 8:17更新)
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窪田真之
楽天証券 チーフ・ストラテジスト
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ひとこと解説
2022年以降、ESG投資に逆風が吹いている。ロシアによるウクライナ侵攻が起こってから化石燃料株が大きく上昇したからだ。ESGを基準に投資することはないと語り、化石燃料株を大量保有している米著名投資家ウォーレン・バフェット氏率いるバークシャー・ハサウェイのパフォーマンスは極めて好調であった。一方、厳格にESG基準を適用して化石燃料株に投資していないESGファンドは不振であった。
米国は2021年に民主党バイデン政権が成立してから環境重視政策に舵を切っていたが、こうした環境変化を受けて共和党保守派が環境政策に反旗を翻し始めている。反ESG法を成立させたフロリダ州のデサンティス知事がその筆頭だ。
2023年6月27日 8:13 』