深圳の官主導住宅整備に市民がNO 格差対策つまずく

深圳の官主導住宅整備に市民がNO 格差対策つまずく
広州支局 比奈田悠佑
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM121SN0S3A610C2000000/

『中国のハイテク都市、広東省深圳市が住宅の再整備でつまずいている。市当局は労働者の格差対策として割安な賃貸住宅を確保しようとしているが、市民の思わぬ抵抗に遭った。経済の高速成長と急減速によって生じる社会のひずみを是正するのは政府にとって喫緊の課題だが、民意を吸い上げる難しさに直面している。

騰訊控股(テンセント)などネット企業が集まる深圳中心部から車で30分ほどの距離にある白芒村。この2カ月で村の…

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『村に20年以上住む女性は「白芒村のオーナーは長年、借り手が他へ流出しないよう家賃を調整しながら上手に利潤を得てきた」と話す。多くのオーナーは将来の実入りを今、固定化するよりも、一段の家賃引き上げの機会を待つ方が良いと判断した。計画経済的な手法を拒み、損をする可能性があっても市場メカニズムによるチャンスを期待した、という見方もできる。

1980年に中国初の経済特区に指定され、改革開放のモデル都市になった深圳には市場経済への信仰が根付いている。深圳だけでなく中国全体の成長を市場原理が促したことは国民の多くが実感を持っている。急成長の記憶はまだ鮮やかだ。

だが中国は今、人口減少や不動産市場の調整といった転換点を迎えている。これまでに広がった所得や資産の格差を放置すれば不満は増大し、社会不安につながりかねない。それだけに政府は矢継ぎ早に対策に動いているが、市民の意識はすぐには変わらない。深圳の小さな村で起きた出来事は中国が抱えるジレンマを象徴している。』