中国、米主導の包囲網に危機感 国務長官の訪中合意
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM151XI0V10C23A6000000/
『【北京=田島如生、ワシントン=坂口幸裕】米中両政府はブリンケン米国務長官の18、19日の中国訪問で合意した。中国が米国との対話を本格化するのは、安全保障や経済を巡る米主導の対中包囲網に危機感を抱くためだ。米中首脳会談の実現に向けた地ならしと位置づける。
ブリンケン氏は北京で秦剛国務委員兼外相と会談するほか、中国外交トップの王毅(ワン・イー)共産党政治局員と会う方向だ。米メディアによると、習近平(…
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『米メディアによると、習近平(シー・ジンピン)国家主席と面会する案もある。
ブリンケン氏の訪中は2022年11月にバイデン米大統領と習氏がインドネシアで対面で会談したときに合意した。米中は23年2月上旬を予定したが、直前に中国の偵察気球が米本土に飛来した問題を受けて延期が決まった。
米国はその後、ブリンケン氏の訪中を再び探ったが、中国が消極的な姿勢を示してきた。米国が半導体関連の対中規制で日本やオランダに同調を呼びかけ、中国は反発した。米国は6月2〜4日のシンガポールでのアジア安全保障会議(シャングリラ会合)の際に国防相会談を呼びかけたものの、中国は拒否した。
それでも中国が今回、ブリンケン氏訪中を受け入れた背景には米国のさらなる圧力を防ぐ狙いがある。米政府は半導体の輸出規制に加え、12日にハイテク製品の輸出を禁じる中国企業の対象を広げた。中国国内の先端技術の開発などに支障が出ているもようだ。
対中抑止策が主要議題となった主要7カ国首脳会議(G7広島サミット)が5月に終わり、米中対話を進めやすい環境になったとの見方もある。秋まで各国の首脳級が集まる大型の国際会議はなく、中国が批判の矢面に立つ場面は少ないとみられる。
中国が見据えるのは9月にインドで開く20カ国・地域(G20)首脳会議や11月の米国でのアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議だ。いずれも米中両首脳が出席する可能性があり、対面会談を調整する選択肢になる。
「米中双方が誤算のリスクを減らすためにあらゆる手段を講じることの確認に関心をもっている」。クリテンブリンク米国務次官補(東アジア太平洋担当)は14日、ブリンケン氏の訪中について記者団にこう語った。
その狙いを①誤算を防ぐ意思疎通チャンネルの確立②安保を含む懸念を率直に提起③気候変動やマクロ経済など協力分野の模索――と解説した。「責任ある方法で競争を管理するために訪中する。最低限、この目標を達成するのを望んでいる」と話した。
米国家安全保障会議(NSC)でインド太平洋調整官を務めるカート・キャンベル氏は「ハイレベルの意思疎通に基づき、競争を管理し、利益が一致する点での協力をめざす」と述べた。米側によると、ブリンケン氏の訪中で共同声明などの成果文書をまとめる予定はない。
米ジョンズ・ホプキンス大のホフン・ホン教授はブリンケン氏の訪中で「関係が大きく改善されるとは誰も思っていない。偶発的な軍事衝突を防ぐガードレールを確立するのが目的だ」と分析。「話し合っているという事実が重要だ」と説明する。』