米国務長官、数週間以内に訪中 習氏と会談検討と米報道

米国務長官、数週間以内に訪中 習氏と会談検討と米報道
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN06D6Q0W3A600C2000000/

『【ワシントン=坂口幸裕】米ブルームバーグ通信などは6日、ブリンケン米国務長官が数週間以内に中国・北京を訪問し、習近平(シー・ジンピン)国家主席らと会談する予定だと報じた。2月に米本土への中国偵察気球の飛来を受けて延期した訪中の実現で、悪化する米中関係の安定をめざす。

クリテンブリンク米国務次官補(東アジア・太平洋担当)は5日、訪問先の北京で中国の馬朝旭外務次官と会談した。国務省は声明で米中の意思…

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『国務省は声明で米中の意思疎通を維持する取り組みの一環で「率直で生産的な議論」をしたと強調した。

米国家安全保障会議(NSC)のカービー戦略広報調整官は6日の記者会見で、クリテンブリンク氏らが訪中した目的について「意思疎通ラインを常に開いておき、今後より高いレベルの訪問の可能性を話し合うことだった。そのために中国高官と有益な協議をした」と説明した。

ブリンケン氏の訪中を巡っては「近くこの場で話すことになると思う」と述べるにとどめた。米国務長官が訪中すれば、2018年10月にトランプ前政権のポンペオ氏が訪れて以来になる。

米中は台湾や人権など幅広い問題で対立を抱えつつ偶発的な軍事衝突を避けたい思惑では一致する。習氏がブリンケン氏との会談を受け入れれば、対話を重視する中国側の姿勢が明確になる。

米中関係は米軍が2月に米本土へ飛来した中国の偵察気球を撃墜したのを機に冷え込んだ。22年11月にインドネシアで対面会談したバイデン米大統領と習氏が合意したブリンケン氏の訪中は直前に延期が決まった。

最近は対話の再開に向けて軌道修正を探る。5月上旬に米ホワイトハウスのサリバン大統領補佐官(国家安全保障担当)と中国外交トップの王毅(ワン・イー)共産党政治局員がオーストリアの首都ウィーンで話し合った。対話の維持で合意した。

レモンド米商務長官と中国の王文濤商務相も5月下旬に米国で会った。米中央情報局(CIA)のバーンズ長官は5月に極秘で中国を訪問し、中国当局者と会談した。

一方、安全保障分野の対話は細る。オースティン米国防長官は今月2日、訪問先のシンガポールで中国の李尚福国務委員兼国防相と握手を交わしたものの、中国は米側が打診した正式な会談を拒否した。

米国は不測の事態に陥らないよう両国関係を安定させるため、軍を含む高官の対話を続けるべきだと中国に働きかけてきた経緯がある。

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渡部恒雄
笹川平和財団 上席研究員
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分析・考察 安全保障政策の最重要目標の一つは、国益に叶わない不慮の軍事衝突を防ぐことです。米中の軍事と経済の競争関係が長期的に継続する可能性が高いからこそ、対話チャンネルの構築が喫緊に必要です。そのための下地作りを米中は模索しており、バイデン大統領の示唆した「雪解け」というのは必ずしも、かつての米ソのデタント(緊張緩和)を意味してはいないと思います。とはいえ、長期的にはデタントも視野に入れる必要は十分ありますので、現在の米中のコミュニケーションチャンネルの確保の動きは重要です。このような状況下で日中間のホットラインが初運用されたこは意義があります。以下の記事をご覧下さい。
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA169Z70W3A510C2000000/
2023年6月7日 8:38いいね
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柯 隆
東京財団政策研究所 主席研究員
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分析・考察 連日、米中高官の接触が続いている。やはりブリンケン国務長官北京訪問の環境整備のためのようだ。これはバイデン大統領が広島で述べた米中の雪解けを意味するものなのだろうか。少なくとも安全保障については、妥協はあり得ない。長きにわたって、対話ができないのはリスク管理についてよくない。ブリンケン国務長官の北京訪問は間違いなく秋のAPECで米中首脳会談のための布石であろう。それでも、米中関係は本格的に改善する可能性が低い。アメリカ政府が課している制裁は続くものと思われる
2023年6月7日 7:42 』