米中高官が会談、関係安定へ「率直な議論」
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN05CME0V00C23A6000000/
『【ワシントン=芦塚智子】米国務省は5日、クリテンブリンク国務次官補(東アジア・太平洋担当)が訪問先の中国・北京で同国の馬朝旭外務次官と会談したと発表した。両政府の意思疎通を維持する努力の一環として「率直で生産的な議論」をしたと説明した。
米軍が2月に米本土へ飛来した中国の偵察気球を撃墜したのを受けて悪化した米中関係の安定を巡り、意見を交わした。国務省によると、会談には米国家安全保障会議(NSC)のベラン中国・台湾担当上級部長とバーンズ駐中国大使も同席。台湾問題についても協議し「米国は精力的に競争し、米国の利益と価値観のために立ち上がることを明言した」と強調した。
中国外務省の発表では、中国側は台湾問題などについて「厳正な立場」を表明した。米中で意思疎通を続けることで合意した。
NSCのカービー戦略広報調整官は5日の記者会見で、クリテンブリンク氏らが中国側に対し、中国軍による米軍の偵察機や駆逐艦への危険な接近が相次いでいることについて懸念を伝えたことを明らかにした。
カービー氏は「特に(米中関係が)緊張し、誤算のリスクがあるときや、中国軍が理由もなく攻撃的な行動をしているときにこそ、対話ができるようにすることが望ましい」と述べ、米中の意思疎通の重要性を指摘した。人権問題も取り上げたと説明した。
延期されているブリンケン国務長官の訪中など閣僚の中国訪問の見通しについては明言を避けたが、今回の高官会談は「よい兆候だ」と評価した。
オースティン米国防長官も4日、中国軍による危険な接近などを巡る記者の質問に対し「何か起きた場合に(米中間に)明確な意思疎通がなければ、いかに困難な事態になり、短期間に何が起こりえるだろうか」と対話の必要性を指摘した。』