ウクライナの原発取水ダム爆発、安保理が緊急会合
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『【ニューヨーク=佐藤璃子】国連の安全保障理事会は6日、ウクライナ南部ヘルソン州のカホフカ水力発電所のダムが爆発で決壊したことを受けて、緊急会合を開いた。各国からはロシアへの批判が相次いだ。ウクライナとロシアはそれぞれ相手方による破壊行為だと批判している。
ロシアとウクライナの両国が会合の開催を求めた。会合に先立ち、グテレス国連事務総長は「(ダムの決壊は)ロシアによるウクライナ侵攻が生んだ壊滅的な結果である」と声明を出した。ダムが決壊した経緯について、国連は情報を得られていないとも明かした。
会合に出席したウクライナのキスリツァ国連大使は「ロシアの占領軍による攻撃だ。外部から爆破させることは物理的に不可能である」と話し、国際機関に対し人道支援団の派遣や被害を受けた地域住民を支援するよう求めるとした。
一方、ロシアのネベンジャ国連大使は「事務総長にはウクライナ側によるテロ行為を客観的に評価し、非難するよう求める」と主張した。
米国のウッド次席大使は「民間施設に対する意図的な攻撃は戦争法違反にあたる。ロシアはウクライナから軍隊を撤退させなければならない」とロシアを非難。フランスのドリビエール国連大使は「ロシアはウクライナで犯した罪の責任を負うべきだ」と指摘した。
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上野泰也
みずほ証券 チーフマーケットエコノミスト
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ひとこと解説
外務省のホームページによると、ジュネーブ条約の第2追加議定書に「文民たる住民の生存に不可欠な物の保護(第14条)」「危険な力を内蔵する工作物等(ダム、堤防、原子力発電所)の保護(第15条)」が書かれている。
生活に不可欠なインフラで、原発冷却水の取水源でもあるダム破壊は、戦争犯罪に該当すると言える。
そうなると、自分の仕業だとどちらかの国が認めるはずもない。
ウクライナ軍の本格攻勢が始まった可能性が出ている現在の状況でのダム破壊は、広い水没地域を作り出すことにより同軍の前進を妨げようとするロシアの仕業だという疑念が非常に強いが、現時点では確証がない。
いずれにせよ原発への悪影響は絶対回避の場面である。
2023年6月7日 8:00 』