中国国防相、台湾統一「武力行使の放棄は約束しない」
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM023N70S3A600C2000000/
『【北京=田島如生、シンガポール=中村亮】中国の李尚福国務委員兼国防相は4日、シンガポールでのアジア安全保障会議(シャングリラ会合)で演説した。台湾について「平和的統一のため最大の努力をするが、武力行使の放棄は約束しない」と述べた。
「台湾は核心的利益だ。中国は必ず統一しなければならない」と強調した。「中国から分裂させようとする者が出てくれば中国軍は少しもちゅうちょせず、いかなる相手も恐れず、どん…
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『「中国から分裂させようとする者が出てくれば中国軍は少しもちゅうちょせず、いかなる相手も恐れず、どんな代償を払ってでも国の主権と領土の一体性を守り抜く」と語った。
米国を念頭に「外部勢力が台湾を利用して中国をけん制し、内政に干渉している。これが台湾海峡の緊張の根本的な原因だ」とも話した。
米中両国については「激しい衝突や対立に発展すれば世界にとって耐えがたい苦痛になる」と警告したうえで、米国との対話に関し「中国はオープンだが、相互の尊重に基づくべきだ」と強調した。
同会合で米国が打診してきた米中国防相会談は中国が拒否した。米国は李氏を2018年から制裁対象に指定しており、中国側は会談の条件として制裁解除を求めてきた。李氏の発言は改めて解除を促す狙いもあったとみられる。
李氏は「中国の新しい安保イニシアチブ」をテーマに演説した。アジア地域を不安定にする要因として米国のインド太平洋戦略や北大西洋条約機構(NATO)のアジアへの関与強化を挙げた。中国が国際秩序づくりを主導することに意欲を示す場面もあった。
米国との対立は鮮明だ。オースティン米国防長官は3日の演説で「全世界が台湾海峡の平和と安定の維持に利害を持つ」と明言した。台湾有事は「壊滅的だ」と指摘。「いま(米国の)抑止力は強固であり、そのような状況を維持することが我々の役割だ」と述べ、米軍の能力向上で中国への抑止力を高める立場を明確にした。
米中の国防当局は対話が細ったままだが、外交ルートで関係改善を探る。米国務省は3日、クリテンブリンク国務次官補(東アジア・太平洋担当)が4?10日に中国とニュージーランドを訪問すると発表した。
中国の首都・北京には米国家安全保障会議(NSC)のベラン中国・台湾担当上級部長も同行し、意思疎通を維持するため中国当局者と協議する。2月に延期したブリンケン国務長官の訪中を調整する可能性がある。
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