東芝、国内連合に優先交渉権 中部電力やオリックス参画
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC116FW0R11C22A0000000/
『【この記事のポイント】
・買収価格などの詳細な条件の協議開始へ
・2兆円台半ばともみられる資金を調達できるか焦点に
・革新機構は2次入札に個別に応札する意向
東芝が再編案について国内投資ファンドの日本産業パートナーズ(JIP)に優先交渉権を与えたことが11日、わかった。今後、買収価格などの詳細な条件の協議を始める。JIP案では中部電力やオリックスなど日本企業が出資する計画。株価が再編を織り込む形ですでに高値で推移するなか、株主が合意できる価格を提示し、2兆円台半ばともみられる資金を調達できるかが焦点となる。
東芝は9月30日、2次入札に進んでいた複数の候補から、法的拘束力のあるものも含めて詳細な意向表明書を受け取ったと発表していた。そのうちJIPと先行して交渉に入ることにした。
JIPは国内勢主体で買収するため、日本企業に参加を呼びかけている。中部電力が1000億円弱を出資する方針を固めたほか、オリックスも1000億円規模の出資を検討している。JR東海、東レ、日本生命保険などにも出資を打診しているとみられる。エネルギーやインフラなど事業面でつながりの深い企業に東芝の再編を後押ししてもらう。
東芝は株式の取得価格や買収資金の調達方法、改正外為法や各国の競争法といった規制に絡む実現可能性などに基づいてJIPと協議する。
焦点となるのが価格だ。東芝の時価総額は足元で約2兆2000億円。非公開化には2兆円台半ばの資金が必要となるとの見方がある。JIPは買収資金のうち、1兆円規模を資本で集めたい考えとみられる。日本企業の出資が集められるかや、残りの融資について金融機関から確約を得られるかが重要となる。約1カ月とされる交渉期間内でJIPと合意できるかは不透明な面も残る。
1次入札でJIPと連携していた官民ファンドの産業革新投資機構(JIC)は東芝の非公開化後に業界再編が必要との考えで、2次入札は個別に応札する意向だ。米ベインキャピタルと連合を組む方向で検討している。東芝はJIPとの交渉が妥結しなかったことも想定して、JICに対してもより詳細な提案を求めているもようだ。
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Nikkei Asia https://asia.nikkei.com/Spotlight/Toshiba-in-turmoil/Toshiba-buyout-Japanese-investor-group-gets-first-refusal-right?n_cid=DSBNNAR
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森幹晴
弁護士・東京国際法律事務所 代表パートナー
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ひとこと解説
東芝再編をどう見るか。中部電力等と連合を組む日本産業パートナーズ(JIP)陣営が優先交渉権をとり、米ベインと連合を組む産業革新投資機構(JIC)も有力のようだ。両陣営は、東芝の主力のインフラ事業を担ぐか、業界再編や半導体等も視野に入れるかで競っていると見てよいのではないか。JIP陣営はインフラ事業で東芝とつながりの深い企業の連合で、中部電力の浜岡原発には東芝が原子炉を納入している。他方、JICはインフラ事業の再編、ベインが引き継いだ東芝半導体事業との連携も構想にあるだろう。半導体事業のExitで売却となれば、東芝が買い戻すシナリオを描くはず。選ばれるのはどちらの陣営か、目が離せない。
2022年10月12日 8:33 』