オーストラリア貿易相、中国のTPP加盟「見込めず」

オーストラリア貿易相、中国のTPP加盟「見込めず」
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『オーストラリアのファレル貿易・観光相は都内で日本経済新聞に対し、中国の環太平洋経済連携協定(TPP)の加盟について「現時点で同国が参加できる見込みがあるとは思えない」と語った。中国が豪産品の輸入を制限していることを挙げ、加盟には公正な貿易ルールなど「(加盟国に課される)義務を果たす必要がある」と述べた。

中国は2021年9月にTPPに加盟申請したが、参加が実現するには全加盟国の支持が必要だ。マレーシアなど一部の加盟国は中国の参加に前向きだが、日本や豪州は慎重な姿勢を見せている。ファレル氏は5月の総選挙で政権交代したのを受け、貿易相に就任した。中国のTPP加盟問題は前政権の方針を踏襲している。

ファレル氏は加盟審査中の英国について「加盟を支持する」と語った。一方、中国は「豪中間の貿易には現在多くの障壁があり、加盟申請には懸念を抱いている」と指摘した。豪中両国の貿易摩擦解決に向けた議論の進捗などを通し、公正な貿易ルールを守れるかを見定める必要があるとの認識を示した。

両国関係は20年4月に豪州が新型コロナウイルスの発生源を調査するよう求めたことを発端に悪化した。中国は同年5月、豪産大麦に高関税を課した。これまでにワインや食肉、石炭といった豪産品にも輸入制限をかけており、豪州は関税を不当として世界貿易機関(WTO)に中国を提訴している。

ファレル氏は貿易摩擦の改善に向け協議を模索していく考えも示した。「直接顔を合わせることで、特定の貿易品目を巡る豪中間の違いについて整理できる」とし、2国間協議について「機会があれば開きたい」とした。時期などは特に決まっていないが、今月に中国で開催される共産党大会が「一段落した頃に機会が訪れることを期待している」と語った。

ファレル氏によると、中国側も2国間協議については前向きだという。

豪州も参加する米国主導の新経済圏構想「インド太平洋経済枠組み(IPEF)」では、資源大国としてサプライチェーン(供給網)強化やエネルギー安全保障といった分野で他の参加国と連携する姿勢を強調した。中国の海洋進出を念頭に「米国がアジア太平洋地域に関与することで安定につながり、島しょ国を含むパートナーの経済回復も支援できる」とも述べた。

(田口翔一朗)

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Nikkei Asia https://asia.nikkei.com/Editor-s-Picks/Interview/Australia-sees-no-prospect-of-China-being-accepted-into-CPTPP/?n_cid=DSBNNAR 』