アゼルバイジャン、欧州向けガスパイプライン容量を倍増
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR04E960U2A001C2000000/

『【イスタンブール=木寺もも子】カスピ海沿いの資源国アゼルバイジャンは欧州向けの天然ガスパイプラインの容量を倍増させる。6日、経由国のトルコと合意した。同国産ガスを運ぶギリシャ・ブルガリア間のパイプラインも今月に稼働した。欧州はロシアに代わるガス供給元として期待するが、地域紛争を抱える強権国家への依存を懸念する声も上がる。
欧州との間に横たわるトルコを通るパイプラインの容量を2倍の年160億立方メートルにすることで合意した。トルコのドンメズ・エネルギー天然資源相が6日、明らかにした。コンプレッサーの増強などで対応し、「近く」実現するとしている。
アゼルバイジャンからギリシャ、イタリアにガスを運ぶパイプライン「南ガス回廊」は2020年末に商業運転を始めた。今月1日にはギリシャからブルガリアに年10億立方メートルを供給する「支流」も稼働したばかりだ。
「このパイプラインはブルガリア、そして欧州のゲームチェンジャーになる」。1日、ブルガリアでのパイプライン開業式典に参加した欧州連合(EU)のフォンデアライエン欧州委員長は「ロシア依存からの解放」につながると称賛した。
EUとアゼルバイジャンは7月、27年までにガス供給量を年200億立方メートルにすることで合意した。同国のシャフバゾフ・エネルギー相によると22年は21年比で31%増の120億立方メートルになる見込みだ。1日の式典に参加したアリエフ大統領は「新たに複数のガス田も生産を開始する」と述べた。
EUはウクライナ侵攻以前、全体の4割にあたる1500億立方メートルのガスをロシアから輸入していた。脱ロシア依存に向け、アゼルバイジャンは代替供給源の一つとして期待される。ただ、欧州の人権団体などは強権体制で知られるアゼルバイジャンとのエネルギー協力を危ぶむ。
英紙ガーディアンは「抑圧的で不透明な体制は信頼できるパートナーではないことをロシアのウクライナ侵攻が示したばかりだ」とするヒューマン・ライツ・ウォッチ幹部らの声を伝えた。ロシアの石油大手ルクオイルがアゼルバイジャンのガス田開発に出資していることも問題視されている。
アゼルバイジャンは係争地のナゴルノカラバフを巡り、隣国アルメニアと長年の敵対関係にある。9月に交戦した際は両軍で計200人以上が死亡した。双方は互いに相手が先制したと主張しているが、軍事力で上回るアゼルバイジャンが、欧州向けガス供給の交渉で立場を強めたことを契機に攻撃を仕掛けたという見方もある。
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