中国マクロ経済司令塔、習氏側近が浮上 市場重視後退も
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『【北京=川手伊織】10月の中国共産党大会後に発足する新たな指導部で、マクロ経済政策の司令塔に国家発展改革委員会(発改委)の何立峰(ハァ・リーファン)主任が就くとの見方が浮上している。3期目入りを固めた習近平(シー・ジンピン)総書記(国家主席)の側近だ。金融行政や米国との貿易交渉を含めて今後5年間のマクロ経済運営のかじ取りを担うとみられる。
中国では伝統的に党総書記が政治、首相が経済運営をそれぞれ担う。習指導部が発足した当初は李克強(リー・クォーチャン)首相が経済運営を仕切っていたが、習氏は2016年ごろから側近の劉鶴(リュウ・ハァ)副首相を通じて経済政策にも関与を強めてきた。
劉氏は経済政策の大きな方針を決める党中央財経委員会の事務局トップを務める。国務院(政府)の金融安定発展委員会を取り仕切り、金融行政の旗振り役も担った。米中貿易戦争では中国側の交渉責任者を務めた。
70歳の劉氏は共産党幹部の68歳定年という慣例に基づき、退任する見通しだ。後任との見方が広がっているのが何氏だ。米調査会社ユーラシア・グループは、次期指導部における党序列25位以内の政治局員を予想。劉氏が務めた第4副首相に何氏を挙げた。
党大会で政治局員に就き、副首相には23年3月に開く全国人民代表大会(全人代、国会に相当)で正式に選出されるとみられる。
何氏は広東省出身で、アモイ大学卒業の経済学博士。習氏が副市長として福建省アモイ市に赴任していた頃、習氏と仕事の合間にバスケットボールを楽しんだ。
赴任当初、福建になじめなかった習氏と親しく交流し、習氏の信頼を得たとされる。党高官の執務室が集まる中南海に長く勤務した関係者は何氏について「習氏が心を許せる『弟分』のような存在」と評する。
福建省での勤務が長かったが、習指導部が発足した後、14年に発改委副主任に抜てきされ、17年からは主任として組織を率いてきた。習氏が北京を離れて国内や海外に出張する場合、ほぼすべて同行してきた。
発改委は、計画経済時代の1952年に発足した国家計画委員会を前身とする国務院の中核組織だ。エネルギー政策や各産業の管理監督も手掛け、インフラなど公共事業の許認可など経済政策全体に強い権限を持つ。旧ソ連など社会主義体制の国では同様の組織があることが多い。
習氏より2歳年下の何氏が同1歳年上の劉氏の職務を引き継げば、マクロ経済運営でも格差是正をめざす「共同富裕(共に豊かになる)」の推進など習氏のカラーがさらに強まる可能性がある。
劉氏は朱鎔基元首相の薫陶を受けた改革派官僚と親しく交流する一方、習氏とも幼少期から交友関係があった。経済に必ずしも明るくない習氏も劉氏の話には耳を傾けたとされ、習氏の「経済秘書」の別名があった。
劉氏は経済の統制を重視する習氏の大方針と、市場機能を重視する党内改革派の間の微妙なバランスを取り、マクロ経済運営にあたってきた。劉氏が指導部を去れば、中国の市場化改革を支持する改革派の力はさらに衰える。
市場重視の姿勢が後退するとの懸念を映すように、中国で「人民経済」という言葉が話題を呼んでいる。
提唱者とされる中国人民大学の温鉄軍教授によると、人民経済の概念は財産を全ての人民で所有する。企業は自己利益の最大化でなく、社会全体の発展を追求する存在という。改革開放前の計画経済時代をほうふつとさせる内容で、中国国内でも経済の専門家らから反発の声があがるほどだ。
党関係者は「極端な内容だが、党大会を直前に控えているだけに(人民経済という言葉に)指導部の意向が反映されていると考えることもできる」と語る。
マクロ経済運営をめぐる幹部人事では、中国人民銀行(中央銀行)の総裁人事も焦点の一つだ。現在の易綱総裁を高く評価してきた劉氏とともに、易氏も退くとの見方もある。後任には潘功勝副総裁や中国銀行保険監督管理委員会の郭樹清主席のほか、人民銀行副総裁を務めた経歴がある殷勇・北京市委副書記らの名前が挙がる。
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