中国への半導体輸出制限、米国が拡大 先端技術を広範に

中国への半導体輸出制限、米国が拡大 先端技術を広範に
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN07DZ90X01C22A0000000/

『【ワシントン=飛田臨太郎】バイデン米政権は7日、半導体の先端技術をめぐり、中国への輸出制限を拡大する新しい措置を発表した。米国企業が人工知能(AI)やスーパーコンピューター向けの先端技術を中国向けに開発・輸出する場合、事実上の許可制とする。一部企業への輸出管理にとどまっていた措置を広範に広げる。

米中のハイテク分野を巡る覇権争いの一環だ。中国の産業競争力を弱め、米国の優位性を高める狙いがある。経済活動の分断が一段と深まる可能性がある。

中国との先端技術の取引には新しいラインセンスが求められる。米商務省は「(中国が)高度なチップを入手し、高度な半導体を製造する能力を制限するものだ」と説明した。安全保障上の脅威になる場合には、商務省が申請を拒否する可能性がある。

企業活動の混乱を防ぐため一定の猶予期間を設ける。2023年春までは現状と近い取引が続けられる公算が大きい。

これに加え、中国の31企業・団体を米技術を使った半導体を軍事や兵器開発に転用している恐れがあるとし、懸念先リストに加える。懸念が消えない場合は輸出禁止が視野に入る。

対象には、中国半導体メーカーの長江存儲科技(YMTC)を含む。同社は中国政府系ファンドから多額の資金を受け、メモリー量産で急成長を遂げたとされる。米議会はYMTCを禁輸対象にするよう要求していた。

米政府はすでに華為技術(ファーウェイ)や半導体受託生産の中芯国際集成電路製造(SMIC)などへの製造装置の輸出を厳しく規制している。今回の措置は半導体技術の流通をさらに制限する可能性があり、米国以外の関連企業にも影響を及ぼしかねない。

半導体の先端技術は次世代の高速計算機「量子コンピューター」や音速の5倍以上の速度で飛ぶ「極超音速ミサイル」に使われる。米政府は輸出管理の強化によって、軍事面での中国の脅威を抑える意図もある。

米商務省は声明で半導体の先端技術について「中国が大量破壊兵器を含む高度な軍事システムを製造し、人権侵害を行うために使用されている」と断じた。

米半導体の業界団体は「国家安全保障を確保するという目的は理解し、米政府が的を射た方法で規則を実施すると求める」と発表した。米インテルの広報担当者は「規制を検証中だ。すべての国際貿易法および関連する要件を遵守する」と述べた。

【関連記事】

・米国が対内投資審査を強化 中国念頭、AI・量子を監視
・[FT]半導体の厳格な対中輸出規制、米国が導入へ

ニューズレター https://regist.nikkei.com/ds/setup/briefing.do?n_cid=DSREA_newslettertop 』