パラオ大統領、中国に「台湾断交を命じるなと伝えた」

パラオ大統領、中国に「台湾断交を命じるなと伝えた」
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『【スバ(フィジー)=松本史】太平洋の島しょ国、パラオのウィップス大統領は12日、日本経済新聞の単独インタビューに応じ、「私が大統領でいる限りは」台湾との外交関係を維持すると表明した。ソロモン諸島とキリバスが2019年に相次ぎ台湾と断交して中国と国交を結ぶなど、中国は太平洋地域で影響力を拡大するが、ウィップス氏はパラオの台湾重視に変更がないと述べた。

太平洋の島しょ国とオーストラリア、ニュージーランド(NZ)で構成する太平洋諸島フォーラム(PIF)首脳会議に出席するため訪問したフィジーで取材に応じた。ウィップス氏は2021年に大統領に就いており任期は4年。

パラオは1999年に台湾と外交関係を樹立した。中国は台湾と国交を持つ島しょ国の切り崩しを図り、17年末にパラオへの団体旅行を制限したと報じられる。パラオの観光当局によると、中国からの観光客はピークの15年度に9万人を超え、全体の54%を占めたが、その後減少し、新型コロナウイルスの感染拡大前の19年度には2万8000人に落ち込んだ。ウィップス氏は中国からの「強い圧力はある」と打ち明けた。

中国側に対しては「我々は誰とも敵にはならない。関係を持ちたいなら歓迎するが我々に『台湾と関係を持つな』と命じることはできない」と伝えたと明かした。また「常に経済的な強靱(きょうじん)さを持つことが必要だと考えてきた」とも述べた。具体的には日本やオーストラリアなどに「観光客の市場を多様化し1カ国・地域に依存しないようにする」とした。

PIFは11~14日の日程で首脳会議と関連会合を開催中だが、開幕直前にキリバスが脱退を表明した。ウィップス氏は「(キリバスの)マーマウ大統領とは話せていない」と述べた。「対面での会話が何より重要で、うまくいけば近い将来マーマウ氏と話す機会があるだろう」と楽観的な姿勢もみせた。

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太平洋の島しょ国ではソロモン諸島が4月に中国と安全保障協定を締結した。5月末にフィジーを訪問した中国の王毅(ワン・イー)国務委員兼外相は、国交を持つ10の島しょ国に対して、オンラインで開いた外相会合で地域を包括する安全保障協力の強化に向けた合意を提案した。複数の国から反対意見が出て合意は見送られたが、地域と関係が深い豪州やNZ、米国の懸念は強い。

ウィップス氏はソロモンと中国の協定について「安保は各国の主権に基づいた決定だ」と尊重する姿勢を示したうえで、「我々がソロモンの立場を理解し、彼ら(ソロモン諸島)が我々の懸念を知るよう意思疎通ができることが最も大切だ」と対話を続けると強調した。

地域を包括する中国との安保協力については「10カ国はPIFの参加国だ。彼らの側の立場を語ってもらい、次に我々の懸念を表明する必要がある」として、PIFの場でパラオの懸念を伝える方針も示した。
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Nikkei Asia https://asia.nikkei.com/Editor-s-Picks/Interview/Palau-maintains-Taiwan-ties-despite-Chinese-pressure?n_cid=DSBNNAR 』