[FT]英国、ジャンクフード規制先送り 家計危機に配慮

[FT]英国、ジャンクフード規制先送り 家計危機に配慮
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCB170YZ0X10C22A5000000/

 ※ 『ジョンソン氏は当時、数カ月前に新型コロナウイルスに感染して重症となり、自分が「太りすぎ」だと認識したため肥満対策に力を入れる方向に転換したと表明していた。』…。

 ※ そういう、ごく「個人的な事情」で、「国家の政策」が決定されてしまうのは、どうなんだ…。

 ※ しかし、まあ、このウクライナ事態による「物価高」局面においては、「穏当な判断」と言えるのか…。

『ジョンソン英首相はスーパーマーケットにおけるジャンクフードのまとめ買いセールを禁止する計画を先送りした。「家計危機」が広がるなか、その種の値引きセールを禁じれば英国消費者の家計に響くと判断した。

ジャンクフードの陳列場所の制限という新規制は予定通り10月から実施されるという=ロイター

健康管理の専門家はジョンソン氏の方針転換について、政府の肥満対策が弱体化すると即座に非難し、英国の国民医療制度(NHS)の負担が著しく増すことになると警告した。

ジョンソン首相は2020年、包括的な肥満対策として「1つ買えば1つ無料」やソフトドリンクの「おかわり無料」といったサービスを禁止するとともに、ジャンクフードのテレビCM放映とオンライン広告掲載を制限する計画を打ち出した。

対策導入のきっかけは首相のコロナ感染

ジョンソン氏は当時、数カ月前に新型コロナウイルスに感染して重症となり、自分が「太りすぎ」だと認識したため肥満対策に力を入れる方向に転換したと表明していた。

だが、首相官邸は14日、「世界経済の異例の状況」を踏まえ、業界の準備期間を延長するために実施時期を1年遅らせると発表した。

「1つ買えば1つ無料」の禁止と広告制限は、脂肪分、塩分、糖分が多い食品に適用される。

一方で政府は、ジャンクフードなどの店頭陳列場所を制限する新規制は予定通り10月から実施するとしている。これにより、対象商品はレジ前や店舗入り口、エンド(陳列棚の両端)などの目立ちやすい場所に置けなくなるほか、オンライン販売でも同様の措置をとることが求められる。

フィナンシャル・タイムズ(FT)は2月、「(政府が国民生活に過度に介入する)子守国家」に陥りかねないとジョンソン氏が懸念していることをあげて、政策転換の可能性があると報じていた。
ウクライナ紛争が家計危機に拍車

それ以降、ロシアのウクライナ侵攻を受けてエネルギー価格の上昇に拍車がかかり、首相官邸は家計危機に懸念を募らせるようになった。

食品価格はこの1年で6%近く上昇し、物価全体の上昇率は22年内に10%に達するとみられている。

折しも、首相官邸で新しく首席補佐官代理に就任したデービッド・カンジニ氏が中心になって「反企業的」あるいは「反保守的」とみられる施策の打ち切りが幅広く進んでいる。これを受け、監査業界やプロサッカーリーグ、インターネット規制の改革が遅れている。

首相官邸は「まとめ買いセールの禁止措置を先送りすることで、政府が世界経済の異例の状況を加味しつつ家計への影響を確認しモニタリングできる」と述べた。

一方、午後9時以前のジャンクフードのテレビCM放映とオンライン上の有料広告を禁止する措置が導入されるまでの1年間、政府は幅広く意見を募るコンサルテーションを新たに実施する。

保健・社会福祉省のマギー・スループ政務次官はまとめ買いセールの制限延期で、消費者への影響について政府の理解が深まると述べた。
対策の棚上げに懸念する声も

だが、21年まで同省の政務次官を務めていたジェームズ・ベテル卿(保守党)は政府が健康問題で掲げる目標の多くで肥満対策が不可欠だと指摘し、政策を放棄することは「完全に保守党の政策に反する」と語気を強めた。

政府は今後も変わらず肥満対策に注力するとしている。その一例として、4月に大型レストランやカフェ、テークアウト取扱店でカロリー表示を義務付けたことを挙げた。

英国の王立内科医師会(RCP)で肥満関連の特別顧問を務めるレイチェル・バタハム氏は政策先送りにより、英国国民の将来の健康に「重大な脅威」がもたらされるとの見解を示した。

「世界保健機関(WHO)が先ごろ報告書で欧州以上に肥満度が高いのは米国だけと公表したことを考えると、方針転換は著しく期待外れであり、近視眼的だ。こうしたマーケティング攻勢で得をするのはメーカーだけであり、初等学校卒業時には生徒の5人に1人が肥満という現状を招いている」と同氏は言う。

「『1つ買えば1つ無料』というプロモーションを維持する理由として、家計危機が理由に挙げられることが多いが、調査では家計が助かるわけではなくかえって出費増を促すだけということが明らかになっている。また、ジャンクフードのテレビCMを午後9時以前は放映禁止とする措置を先送りすることで、子供たちは長期にわたって不健康な食習慣を形成しやすくなる」

By Jim Pickard

(2022年5月13日付 英フィナンシャル・タイムズ電子版 https://www.ft.com/)

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