ドイツ、インドと経済協力へ1.3兆円 G7サミットに招待

ドイツ、インドと経済協力へ1.3兆円 G7サミットに招待
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR025RZ0S2A500C2000000/

『【ベルリン=南毅郎、ニューデリー=馬場燃】ドイツのショルツ首相は2日、訪独したインドのモディ首相と会談した。気候変動対応を中心に100億ユーロ(約1兆3700億円)規模の経済協力を盛り込んだ共同宣言を打ち出した。6月下旬の主要7カ国首脳会議(G7サミット)にモディ氏を招待したことも明らかにしたが、ロシアと軍事協力関係にあるインドは中立的な姿勢を堅持している。

ショルツ氏は会談後の記者会見で「インドは安全保障や気候関連の政策でアジアにおける中心的なパートナーだ」と強調した。共同声明では脱炭素社会の実現に向けた経済協力を柱に据えた。具体的には、水素や太陽光など再生可能エネルギーの促進や環境に配慮した移動手段といった分野で長期的な協力体制を構築する。2030年までに少なくとも100億ユーロ規模の経済協力を進める計画だ。

ドイツなどの欧米諸国がウクライナに侵攻したロシアへの圧力を強めるなか、新興国ではインドの動向が焦点になっている。インドは国境の係争地で中国と対立しており、ロシアと密接な軍事協力関係にあるためだ。G7が経済制裁の実効性を確保するには、ロシア産原油の調達に動くインドを含めた包囲網の構築が急務になっている。

ウクライナ侵攻をめぐり、モディ氏は記者会見で「勝者はいない」と平和を呼びかけるにとどめた。対ロ協調を呼びかける欧州には中立的な立場を貫いており、まずは経済面での連携を進める方針だ。インドは英国や欧州連合(EU)と自由貿易協定(FTA)交渉を進めており、ドイツとも経済関係のテコ入れに動く。長期的に再エネなど経済分野での連携が進めばロシア依存の脱却にもつながる可能性がある。

今回のドイツ訪問も、モディ政権が推進する「多極化外交」の一環になる。モディ氏は訪問に先駆けて「ドイツとの関係は我々の戦略的パートナーシップの柱の一つであり、ショルツ氏とコロナ後の景気活性化策について議論する」と表明していた。6月26~28日に独南部のエルマウ城で開催するG7サミットでは、招待されたインドが欧米との対ロ協調に足並みをそろえるかどうかも焦点になる。』